アジア開発銀行は、2024年フィリピンとベトナムが東南アジアで最も経済成長率が高いと予測
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アジア開発銀行(ADB)は、2024年のフィリピン経済成長率の予測を6%とし、2025年も6.2%と据え置きました。インフレの緩和と金融政策の緩和が国内需要を押し上げると見られています。また、フィリピンとベトナムは東南アジアで最も成長が期待される経済であり、2024年と2025年には6%の成長が見込まれています。これに対し、カンボジアやインドネシア、マレーシアなどは比較的低い成長率が予測されています。
フィリピン政府は2024年の成長目標を6-7%、2025年を6.5-7.5%と設定していますが、ADBの予測はその目標の下限に位置しています。
フィリピンの2024年上半期のGDP成長率は6%であり、政府の目標下限を達成するためには、下半期も6%の成長が必要とされています。公共投資が経済成長を後押しし、製造業や建設業、サービス業も経済に貢献する見込みです。
また、フィリピンの電子機器輸出は好調であり、低付加価値の分野である組立やテスト、パッケージングの需要が堅調です。ただし、フィリピンは高度技術製品の分野では他国ほど恩恵を受けていないとADBは指摘しています。2024年7月時点で、電子製品の輸出は前年比2.5%増の238億8,000万ドルに達し、総輸出の56%を占めています。
インフレの鈍化もフィリピンの成長に寄与しています。ADBは2024年のインフレ率予測を3.6%(4月時点では3.8%)に引き下げ、2025年も3.2%(4月時点は3.4%)に修正しました。これにより、中央銀行が2025年までに金融緩和を続ける可能性が高いとされています。
2024年8月、フィリピン中央銀行は政策金利を6.5%から6.25%に引き下げ、金融緩和サイクルを開始しました。インフレがさらなる鈍化を続ければ、今後も緩和が続くと見られています。
ただし、フィリピン経済にはいくつかのリスクもあります。例えば、主要経済国や中国の成長鈍化、FRBの政策決定による金融市場の不安定さがリスクとして挙げられています。また、地政学的緊張の高まりや世界的なコモディティ価格の上昇も、インフレ圧力を高める可能性があると警告しています。一方、ADBはアジアの開発途上国全体の2024年成長予測を4.9%から5%に引き上げました。これは技術輸出の需要増加や消費の加速が要因とされています。ただし、東南アジアの成長予測は、公共投資の低迷や輸出回復の遅れにより、2024年は4.5%(4月時点では4.6%)に下方修正されました。インフレ予測も中国の影響で2.8%に引き下げられましたが、東南アジアではラオスやミャンマーの通貨安によりインフレが3.3%に上昇する見通しです。
https://www.bworldonline.com/top-stories/2024/09/26/623914/adb-keeps-phl-growth-forecasts/
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