フィリピン財閥JGサミットの現状と見通し
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JGサミットは2023年第三四半期の純利益が前年比39%減の31億ペソに落ち込んだものの、ランス・ゴコンウェイ(Lance Y. Gokongwei)社長は年末に向けた好調な見通しを持っていると述べました。同社は、年末にかけての業績改善と各事業の収益性向上を目指し、今後も上向きの業績基盤を構築していくとのことです。
第三四半期の総売上は前年同期比1.4%増の891億ペソとなりましたが、この成長は期待を下回りました。これは、世界の石油化学業界の不振が続く中でのJG Summit Olefins Corp.(JGSOC)の損失拡大、Universal Robina Corp.(URC)の砂糖価格の修正および高コスト在庫による利益減少、さらに、フィリピン航空業界の閑散期に需要を喚起するためのセブ・エアー(Cebu Air, Inc.)の運賃引き下げによる影響が原因です。また、消費者の購買意欲の低下が製品やサービスの需要を弱めており、特に食品や飲料のコストパフォーマンスを重視する傾向が見られます。
9ヶ月累計での純利益は前年同期比16%増の179億ペソ、コア利益は39%増の203億ペソとなり、売上高も前年同期比10%増の2,770億ペソに達しました。これは、旅行やレジャー需要の好調、コストパフォーマンス重視の食品や飲料の需要増、石油化学プラントの稼働率上昇によるものです。
URCは、中国事業の終了や為替利益の減少によって純利益が18%減の80億ペソとなりましたが、売上は1%増の1,189億ペソに伸び、特に飲料事業の成長が顕著でした。不動産およびホテル事業のロビンソンズ・ランドでは、子会社であるRL Commercial REITに対する少数株主の利益配分増により、純利益の成長が鈍化しました。しかし、売上は4%増の293億ペソ、税引前利益も7%増の178億ペソと堅調でした。
航空事業では、CEBが機材増強に伴う減価償却費および資金調達コストの増加により純利益が33%減の34億ペソとなりましたが、乗客数の13%増により売上は11%増の745億ペソに達しました。
石油化学事業は、世界市場の悪条件が続き、純損失が114億ペソに拡大しましたが、稼働率の向上や価格設定ツールの導入により売上は前年比53%増加しました。
また、電力供給事業のマニラ・エレクトリック(Manila Electric Co.)の純利益からの持分配当は、販売量の記録的な伸びや発電・小売電力供給の増益により19%増の87億ペソとなりました。シンガポールランドグループ(SLG)のホテル事業も好調で、持分利益は15%増の13億ペソに達しました。また、PLDT Inc.からの配当は、特別配当が昨年のみだったため11%減少しましたが、BPIとRobinson Bankの合併によって、BPIからは3億7,300万ペソの配当を受け取りました。
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