2025年フィリピンの経済成長は ? by Fitch
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フィリピン経済は成長を続ける見通しですが、政府が設定した2024年および2025年の成長目標には届かないと、フィッチ・レーティングスの報告書が指摘しました。フィッチは、2024年のフィリピンの国内総生産(GDP)成長率を5.7%、2025年には5.9%と予測しています。これらの数値は、フィリピン政府が目標とする2024年の6-6.5%および2025年の6-8%の成長率を下回ります。ただし、2026年には成長率が6.2%に加速すると予想され、政府目標の6-8%の範囲内に収まる見込みです。成長の主な要因は、金融緩和、インフラ投資、貿易および投資促進のための改革とされています。
国内の政治的緊張が経済成長のリスク要因として挙げられています。マルコス大統領とドゥテルテ副大統領の間の対立が深刻化し、2025年5月の中間選挙を控えた政治的対立が懸念されています。ドゥテルテ副大統領は、汚職や資金の不正使用などの疑惑で弾劾訴追を受けており、政治的不安定が経済運営に影響を与える可能性があります。
また、次期米国大統領ドナルド・トランプ氏の政策もフィリピン経済に影響を与える可能性があります。特に米ドルの上昇は、フィリピン・ペソの価値を押し下げ、インフレ圧力を高める要因と見られています。さらに、米国の移民政策の変更は、フィリピンの重要な経済資源である海外送金にも影響を与える可能性があります。2024年の10か月間でフィリピンへの海外送金の41.2%が米国からのものでした。
フィリピン中央銀行(BSP)のインフレ率見通しは安定しており、フィッチは2025年から2026年にかけてさらに100ベーシスポイントの利下げを見込んでいます。BSPは2024年末までに合計75ベーシスポイントの利下げを実施し、主要政策金利は5.75%に達する見通しです。
フィッチは、2024年の中央政府の財政赤字がGDP比5.7%に達し、2026年には4.9%に縮小すると予測しています。これは政府の財政目標よりも大きいものの、2023年の6.2%や2021年のピーク時の8.6%からは改善すると見られています。
一方、中央政府の債務対GDP比率は2024年末までに61%に達する見通しで、開発途上国の持続可能な水準とされる60%を超えています。ただし、政府は2028年までにこの比率を60%以下に引き下げる計画です。
フィッチ・レーティングスはフィリピンの長期外貨建て発行体デフォルト格付けを「BBB」で据え置き、見通しを「安定的」と評価しました。今後の成長はインフラ投資、金融政策の緩和、貿易促進策に依存する一方で、政治的な不安定さや外部環境の変化がリスク要因として残ります。
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