フィリピン・原子力発電所推進か?
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マニラ電力会社(Meralco)は、アメリカの企業との小型原子力発電所(SMR)開発の実現可能性調査が進行しなかったことを受け、他の外国企業とSMR開発の検討を進めています。
フィリピンの原子力エネルギーロードマップでは、2032年までに少なくとも1,200メガワット(MW)の原子力エネルギー容量を確保し、2040年までに2,400MW、2050年までに4,800MWに拡大することを目指しています。2025年までに、原子力に関する法的および規制の枠組みに必要な法律が整備される予定です。
2023年、MeralcoとUltraSafe Nuclear Corp.は、国内で1つまたは複数の小型原子力発電所(MMR)を展開する可能性を調査するための協力協定を締結しました。両社はMeralcoの商業展開目標に向け実現可能性調査を実施しましたが、UltraSafeの財政的な課題により完了しませんでした。
一方、Meralcoは、フランス政府が所有する多国籍電力会社であるフランス電力公社(EDF)と提携し、原子力プロジェクトの開発の財政的実行可能性を評価することを検討していると述べました。
また、Meralco幹部は、米国に拠点を置く総合エネルギーソリューション企業Eos Organization、Fullbright Philippines、ミンダナオ州立大学イリガン工科大学との間の覚書(MoU)の署名式に出席しました。
このMoUは、Meralcoの開発戦略と非常によく合致してるため、同社はすでに奨学生を派遣し、将来の原子力エンジニアや技術者の育成に乗り出しています。
また、Meralcoは米国と中国に原子力工学の研究のために奨学生を派遣しており、カナダとフランスにも奨学生を派遣する計画です。これらの奨学生は、フィリピンに帰国後、Meralcoに戻り、原子力発電部門で役割を担います。
コメント
Meralcoが原子力エネルギー開発に向けて積極的に動いていることが伺えます。アメリカ企業との提携が財政的な問題で頓挫したものの、すぐにフランスのEDFとの提携を検討するなど、代替案を迅速に模索している点は評価できます。フィリピンの原子力エネルギーロードマップに沿って、2032年までに一定の原子力エネルギー容量を確保するという目標を達成するためには、Meralcoのような民間企業の積極的な関与が不可欠です。
特に、フィリピン政府が2025年までに原子力に関する法的および規制の枠組みを整備することを目標としているため、Meralcoとしても、それに合わせて準備を進める必要があります。また、原子力技術は高度な専門知識を必要とするため、Meralcoが奨学生プログラムを通じて将来の原子力エンジニアや技術者を育成していることは、長期的な視点からも非常に重要です。
原子力エネルギー開発は、安全性や環境への影響など、多くの課題を伴いますが、フィリピンのエネルギー安定供給や経済成長に貢献する可能性を秘めています。Meralcoがこれらの課題を克服し、持続可能な原子力エネルギー開発を実現することを期待します。
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