トランプ関税下での株式投資戦略
ニュース記事
2024年第4四半期において、フィリピン株式市場は前年同期比で15.6%の堅調な利益成長を遂げ、通年では11.8%の増加となり、ABキャピタル証券の予測と概ね一致しました。特に金融セクターが成長を牽引し、一部の消費関連銘柄および通信関連銘柄はやや遅れをとったものの、市場全体としては底堅さを見せました。
企業業績の結果を見ると、56%が予想通り、20%が予想を上回り、24%が予想を下回りました。セクター別では金融が好調だった一方で、通信セクターは遅れをとりました。また、不動産セクターはわずかに上方修正され、コングロマリットや金融セクターは安定的でした。一方で、消費財セクター(EMIやWLCONの影響)や公益セクター(ACENの影響)では業績見通しの下方修正が行われました。ICT(情報通信技術)セクターは、収益の可視性が高いため、継続的に上方修正されました。
2025年通年の企業利益成長は11%を予測していますが、トランプ政権の関税および貿易政策の影響による通貨変動や金利上昇の圧力から、市場のボラティリティ(変動性)が引き続き高い状態が続くと見込まれています。
ただし、製造業輸出に依存していないフィリピン経済が深刻な景気後退に陥るリスクは低く、経常収支や国際収支の危機が発生する可能性も小さいと分析されています。これは、個人消費やBPO産業の堅調さや海外フィリピン労働者(OFW)からの送金が国内経済を強く支えているためです。
さらに、インフレの鈍化傾向や政府および民間部門の支出拡大も2025年の経済見通しに対して前向きな材料とされています。市場の不安定さの中でも、財務的な健全性や収益成長性に基づき、バリュエーション面でも支援される以下のような質の高い大企業をABキャピタル証券では、注目しています。SM(SMインベストメンツ:財閥)、JFC(ジョリビー・フーズ:レストランチェーン)、MONDE(モンデ・ニッシン:食品メーカー)、ALI(アヤラ・ランド:不動産ディベロッパー)、BDO(BDOユニバンク:銀行)、MBT(メトロバンク:銀行)、AP(アボイティズ・パワー:発電)、CNVRG(コンバージICT:通信)。
総評
フィリピン市場は、国際的な不安要素がある中でも、国内の強固な消費基盤と安定した資金流入に支えられ、引き続き成長余地があると考えられます。今後の市場環境は不確実性が高いため、個別銘柄の選定が極めて重要になります。現在のような不安定な相場では、業績やバリュエーションの観点からも信頼できる優良銘柄を長期視点で積み立てていく投資戦略が有効でしょう。
本記事は、フィリピンの証券会社・ABキャピタル証券の20250408のレポート・ The Opening Bellから抜粋、要約したものです。
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