住友金属鉱山が出資するニッケルアジア社大幅増益
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ニッケルアジア社(NAC)は、2025年第1四半期の純利益が前年比148%増の5億1万3千ペソとなったことを発表しました。この大幅な増益は、鉱石価格の上昇に加え、コーラル・ベイ・ニッケル社(CBNC)に対する15.625%の持分を住友金属鉱山(SMM)に売却したことによる一時的な利益8億ペソが寄与したためです。SMMは、もともとCBNCの残りの84.375%の株式を保有しており、今回の取引により100%子会社化されました。
ニッケル鉱石(サプロライトおよびリモナイト)の販売収入は、前年同期の20億3千万ペソから16%増加し、23億6千万ペソとなりました。これは、販売価格の上昇が主な要因です。ニッケル鉱石の加重平均販売価格は、1トンあたり13.84ドルから16.40ドルへと18%上昇しました。また、平均為替レートも前年の1ドル=56.13ペソから57.85ペソへと上昇しました。
特に、輸出されたサプロライト鉱石(66万トン)の平均価格は、前年比43%増の1トンあたり36.60ドルに達し、大きな伸びを示しました。さらに、CBNCおよびタガニートHPAL工場向けに182万トンのリモナイト鉱石を納入しましたが、これらの価格はロンドン金属取引所(LME)に連動しています。
一方で、EBITDAは10億5千万ペソから9億6963万ペソへと減少しました。これは、タガニート鉱山からの鉱石供給が、3月に行われたTHPAL(CBNC子会社)の施設保守によって影響を受けたことが原因とみられます。
THPALプロジェクトにおける持分からの持分法損失は、前年同期の1億9390万ペソから53%減少し、9191万ペソとなりました。これはCBNCからの撤退によって、THPAL関連の損失が縮小したことによるものです。
さらに、NACは再生可能エネルギー子会社であるエマージング・パワー社(EPI)への25億3千万ペソの資本注入を決定しました。この投資は、EPIの普通株式13億3368万4211株を1株あたり1.90ペソで引き受ける形で行われます。資本増強はEPIの定款変更(資本枠の拡大)が承認され次第、実行される予定です。
この資本注入は、NACが2月27日に発表したEPIへの追加出資計画に基づくもので、同社が再生可能エネルギー事業への進出を通じて、鉱業収入への依存を減らす長期戦略の一環となっています。
総評:
ニッケルアジア社は鉱石価格の上昇と資産売却によって大幅な増益を達成し、収益力の強さを示しました。一方で、鉱山運営上の制約や設備保守の影響により、基礎的な利益指標であるEBITDAは減少しました。再生可能エネルギーへの多角化は、今後の持続的成長に向けた戦略として注目されます。
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