フィリピン上院、オンラインゲーム業界に対する規制強化法案を提出
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フィリピン上院は、国内のオンラインゲーム業界に対する規制を強化する法案を提出しました。主な内容としては、電子ウォレット(GCashやMayaなど)とゲームプラットフォームの連携を禁止すること、著名人や学校周辺での広告制限、最低チャージ額を1万ペソに設定すること、そして本人確認(KYC)手続きの厳格化などが含まれています。
これらの規制は、オンラインゲームの利用のしやすさや課金の手軽さを制限するものであり、特に低所得層の参加が困難になることが予想されます。現在はGCashやMayaといった電子決済を通じて容易にアカウントへの資金追加が可能であり、本人確認もこれらプラットフォームに依存しています。しかし、法案が成立すれば、このような仕組みに大きな変更が加わり、オンラインゲーム業界全体の成長軌道にブレーキがかかる可能性があります。
このような背景から、デジタル依存度の高い企業、特にeウォレットとの連携を前提としたゲーム運営を行っている「PLUS」などへの投資比率を引き下げることが推奨されています。
一方、主にランドベース型の運営に依存している「BLOOM」は相対的に防御力が高いと評価されており、2025年7月に施行予定のPAGCORによるゲーム税制改革(主要部門での税率引き下げ)にも支援される形で恩恵を受ける見込みです。
また、Mynt(GCash運営)やMayaなどを傘下に持つ通信大手であるGlobeやPLDTも、間接的にオンラインゲームへのアクセス手段としての役割が注目されることになり、規制の影響を受ける可能性があります。
総評:
新法案は、オンラインゲームへの過剰アクセスとそれに伴う社会的リスクへの懸念に対応するものです。規制は業界全体に逆風となる一方で、構造的にリスクの少ない企業への選別投資が重要となります。特にBLOOMのようなランドベース主体の企業は、今後の制度変更において優位に立てる可能性があります。
本記事は、フィリピンの証券会社・ABキャピタル証券の20250703のレポート・ The Opening Bellから抜粋、要約したものです。
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