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フィリピン株式市場戦略―1H25決算が示す明暗

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2025年上期のフィリピン企業決算は全体として底堅さを見せ、企業全体の利益成長率は前年同期比4.7%となりました。ただし、セクター間で明確な格差が浮き彫りとなっています。

銀行はバンク・オブ・ザ・フィリピン・アイランズ、BDOユニバンク、メトロバンクがいずれも堅調で、セクター全体で+6.1%の成長を確保しました。財閥・コングロマリットも+8.1%と着実に増益を達成し、SMインベストメンツやサンミゲルのほか、GTキャピタルやJGサミットが良好な成果を収めました。

不動産は+12.9%と好調で、アヤラリートが+50.3%、SMプライムが+11%と商業施設や賃貸の回復を背景に大幅な伸びを記録しました。

加えて、オンラインゲーミングは+60.9%、輸送セクターもインターナショナル・コンテナ・ターミナルの強い取扱量増に支えられ+15%を記録しました。消費関連では、ジョリビー・フーズ(+12.4%)、ピュアゴールド(+17.1%)が堅調でした。

一方、エネルギーは-15.1%と大きく落ち込み、ACエナジーが-87.9%と大幅減益、マニラ電力は横ばいにとどまりました。鉱業も-33.1%と不振で、セミララ・マイニング・アンド・パワーの石炭事業の低迷が影響しました。グローバル市場への依存が高い消費財ではエンペラドール(-28.2%)、モンデニッシン(-7.3%)が軟調でした。さらに、アボイティス・エクイティ・ベンチャーズ(-26.8%)、DMCIホールディングス(-16.6%)など一部のコングロマリットや、通信各社も総じて弱く、PLDTは横ばい、グローブ・テレコムは-10.9%と苦戦しました。コンバージICTは+12.4%と例外的にプラスを確保しました。

総じて、資産の軽い事業モデルや多角化による安定収益を持つ企業が優位に立ち、資産集約型やコスト感応度の高い業種は不振に陥りました。リサーチの見解としては、コングロマリットや堅調な消費関連を推奨し、通信やコスト高に脆弱な業種には慎重姿勢を取るとしています。

今後のフィリピン株価指数(PSEI)目標は7,400で、予想PERは過去5年平均を下回る水準にあります。注目銘柄はSMインベストメンツ、ジョリビー・フーズ、ピュアゴールド、アヤラランド、バンク・オブ・ザ・フィリピン・アイランズ、BDOユニバンク、アボイティス・パワー、コンバージICT、インターナショナル・コンテナ・ターミナル・サービシズ、マニラ・ウォーターです。

総評:

今回の決算は、景気回復の恩恵を受けた不動産や消費関連が市場を牽引した一方、エネルギーや鉱業といった資産集約型セクターの脆弱性を浮き彫りにしました。投資家にとっては、多角化や資産の軽いモデルを持つ企業への選別投資が有効と考えられます。指数水準は割安感が出始めており、堅調な消費と金融を軸とした戦略が有望です。

本記事は、フィリピンの証券会社・ABキャピタル証券の20250820のレポート・ The Opening Bellから抜粋、要約し、筆者のコメントを加えたのです。

家村 均