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CBDと周辺地域で二極化するマニラオフィス市場 by Cushman & Wakefield 

ニュース記事

不動産コンサルティング会社 Cushman & Wakefieldの2025年第2四半期レポートによると、メトロ・マニラのオフィス市場は、中心業務地区(CBD)と周辺地域で状況が二極化しています。

マカティ、ボニファシオ・グローバル・シティ(BGC)、オルティガスといった主要なCBDにあるプライムオフィスやグレードAオフィスの賃料は、前四半期比で0.5%上昇し、1平方メートルあたり月額1,118ペソとなりました。空室率も10.5%と改善しています。この好調は、多国籍企業の移転や金融セクターの拡張による「質への移行(flight-to-quality)」需要に牽引されたものです。

一方、CBDの周辺地域では、賃料が前四半期比で1.8%下落し、1平方メートルあたり月額842ペソとなりました。空室率も23.4%に上昇しており、これは慢性的な供給過剰が原因です。特に、ケソン市(150万平方メートル)、パサイ市(80万平方メートル)、ムンティンルパ市(70万平方メートル)といった周辺地域には、合わせて470万平方メートルもの未入居オフィススペースが存在します。

Cushman & Wakefieldは、CBD市場の強靭性は、高品質で戦略的に立地する物件に対する根強い需要を裏付けていると指摘しています。一方で、周辺地域は今後も賃料の調整やオーナー側の譲歩が続く見込みで、2027年までにさらに30万平方メートル以上の新規供給が予定されています。ハイブリッドワークの浸透も、周辺オフィス市場のパフォーマンスに影響を与える要因となっています。

しかし、フィリピン経済全体の堅調な成長(第2四半期は5.5%成長)や、インフレ率の鈍化(7月には0.9%)が、不動産市場の回復力を下支えしています。消費の堅調さや観光の回復、物流需要の増加が経済の勢いを牽引しています。

総評:

メトロ・マニラのオフィス市場は、立地と物件の質によってパフォーマンスが大きく異なる「二層構造」にあると見ています。この傾向は今後も続くと考えられるため、投資戦略を立てる上で非常に重要です。

CBDのプライムオフィスやグレードAオフィスは、賃料の上昇と空室率の改善が続く見込みで、安定したインカムゲインとキャピタルゲインの両方を期待できます。多国籍企業や金融機関は、従業員の確保やブランドイメージ向上のため、多少のコストをかけてでも、中心地の高品質なオフィスを選ぶ傾向が強いため、このセグメントは堅調に推移するでしょう。

一方で、周辺地域のオフィス市場は、供給過剰とハイブリッドワークの定着による需要減退という二重苦に直面しており、当面は厳しい状況が続くと考えられます。

総じて、フィリピン経済の回復基調が市場全体を下支えしている点はポジティブです。しかし、オフィス投資においては、一律の成長を期待するのではなく、CBDの高品質物件と、周辺地域の過剰供給を明確に区別し、前者を中心にポートフォリオを構築することが賢明な戦略と言えるでしょう。

https://www.bworldonline.com/corporate/2025/08/28/694210/cbd-rents-hold-firm-fringe-faces-oversupply/

家村 均