フィリピンのGDP成長見通しと格上げの可能性 by Moodys
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格付け会社ムーディーズは、フィリピン経済が本年中に5.7%の成長を遂げるとの見通しを発表しました。この予測は、政府が掲げる国内総生産(GDP)成長率目標の5.5%から6.5%の範囲内に収まっています。ムーディーズの分析によれば、この堅調な成長は、力強い家計消費、海外労働者(OFW)からの安定した送金、そして政府による継続的な公共投資と構造改革に支えられています。
ムーディーズは、フィリピンの経済が他のアジア諸国と比較して高い成長を維持していると評価する一方で、いくつかの潜在的なリスクも指摘しています。特に、米国の関税政策による下振れリスクが挙げられており、8月7日以降、米国はフィリピン製品に対して19%の関税を課していることが言及されています。また、財政再建努力は進んでおり、政府は2028年までに財政赤字をGDPの4.3%まで削減する目標を達成する見込みですが、今年6月時点の政府債務残高は17.27兆ペソに達しており、対GDP比は63.1%と高い水準にあることも指摘されています。
フィリピンの格付けは「Baa2」で安定的な見通しが維持されていますが、ムーディーズは、持続的な経済成長と財政および政府債務指標のさらなる改善があれば、より高い信用格付けが可能になるとしています。
総評
ムーディーズの見通しは、フィリピン経済が堅調な成長軌道にあることを示唆しています。しかし、外部環境の変化、特に米国の関税政策がリスク要因となる可能性があります。また、高い政府債務も懸念材料であり、今後の財政健全化への取り組みが注目されます。
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