LINE

LINE登録

サポート内容

サポート内容

無料相談

無料相談

TOP

TOP

鉱業に関する新財政制度を法制化

ニュース記事

フィリピンのマルコス大統領は、大規模な鉱業に対する税制を刷新する法案に署名し、法律として成立させました。この「大規模金属鉱業の強化された財政制度法(共和国法第12253号)」は、政府の歳入を増やし、鉱山が立地する地域社会との利益共有を進めることを目的としています。

この法律により、政府指定の鉱山地域で操業する鉱業会社は、総生産高の5%のロイヤルティ(採掘権使用料)を支払うことが義務付けられます。一方、指定外の地域で操業する会社には、金属鉱業による利益率に基づいたロイヤルティが課されます。さらに、利益率が30%を超える企業には、追加税が課税されます。これは、政府が超過利益から公正な分配を受け取り、その恩恵が国民全体に行き渡ることを確実にするためです。

また、個々の鉱業契約者は独立した課税対象として扱われ、あるプロジェクトの損失を別のプロジェクトの利益と相殺することができなくなります。これにより、税収の公平性が確保されます。この法律はまた、内国歳入庁と関税局に対し、過去の鉱物販売および輸出の監査を行うよう指示しています。

地方政府にも恩恵があり、物品税やロイヤルティなどから徴収された総額の40%が配分されます。加えて、鉱山地域からのロイヤルティの10%は、鉱物・地球科学局(MGB)や金属産業研究開発センターに割り当てられ、探査や研究、環境保護の取り組みに充てられます。

この法案について、投資・経済担当大統領特別補佐官のフレデリック・D・ゴー氏は、フィリピン鉱業部門が世界のバリューチェーンにおける主要なプレイヤーとなるための重要な一歩だと評価しています。フィリピン鉱業会議所のマイケル・T・トレド会長も、この法律が鉱業業界にとって安定性、透明性、そして競争力のある財政環境を確立するものだと述べ、歓迎の意を示しました。特に、金属価格が高騰した際に政府と地域社会が公正な分配を受け取れる一方、価格下落時には企業に合理的な税制上の救済措置が提供される点を評価しています。

しかし、この法律には批判的な見解も存在します。フィリピン大学(UP)経済学部准教授のシエロ・マグノ氏は、この法律は鉱業会社にとって非常に有利であるため、追加の歳入をもたらす可能性はあるものの、利益率に基づく制度では会計操作によって利益をゼロにされてしまう可能性があると指摘します。また、社会的、環境的、そして政治的な影響が考慮されていないことにも懸念を示し、鉱物加工による付加価値の最大化や気候変動への対策が含まれていない点を批判しています。

フィリピン開発研究所のジョン・パオロ・R・リベラ上級研究員は、この改革を鉱業収入と実際の利益を整合させるための待望の措置だと評価しています。彼は、利益率に基づいたロイヤルティや追加税への移行が公平性を改善し、透明性に関する規定が不正を防ぎ、投資家の信頼を築くのに役立つだろうと述べています。

総評

この法律は、フィリピン政府の歳入増加と利益の公平な配分を目指す改革です。鉱業関係者は、投資環境の安定化と国際競争力の向上を期待しており、前向きな姿勢を見せています。一方で、利益率に基づく課税の脆弱性や環境・社会問題への配慮不足を指摘する声もあり、今後の運用の透明性と厳格な監視が重要となるでしょう。

https://www.bworldonline.com/top-stories/2025/09/05/696011/new-fiscal-regime-for-mining-industry-signed-into-law/

家村 均