フィリピンのIT・BPM業界、GCC誘致で成長を加速
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フィリピンのIT・BPM(情報技術・ビジネスプロセス管理)業界は、今後も力強い成長を続けると予想されています。業界団体であるフィリピンIT・ビジネスプロセス・アウトソーシング協会(IBPAP)は、2026年までに年間輸出収益が420億ドル、雇用者数が197万人に達すると予測しています。これは、業界がパンデミックという困難な時期を乗り越え、その回復力を証明したことに基づく楽観的な見通しです。
2022年に策定されたロードマップ以降、IT・BPM業界は45万人の新規雇用と105億ドルの収益を生み出しました。特に銀行・金融サービス、ヘルスケアなどの主要分野が成長を牽引しています。
この成長戦略において、フィリピンが特に注力しているのが、グローバル・ケイパビリティ・センター(GCC)の誘致です。GCCとは、多国籍企業が自社の特定の業務を、自社の子会社として海外に集約して運営する拠点のことです。これは、外部の専門企業に業務を委託する一般的なアウトソーシングとは異なり、コスト削減と効率化を図りながらも、業務の品質やセキュリティ、企業文化の一貫性を維持できるという利点があります。フィリピンは、成長率がより高いとされるGCCの次なるハブとなることを目指しています。現在、国内には170のGCCが存在し、インドの2,000と比較すると規模は小さいものの、米国、オーストラリア、ヨーロッパからの設立への関心が高まっているとIBPAPは報告しています。
GCCの誘致をさらに加速させるため、IBPAPは政策面での支援を求めており、特に、以前の地域統括本部(ROHQ)法に類似した新しい法律の制定を提唱しています。同協会は、IT・BPM業界がフィリピン経済の少なくとも8%を占める重要な存在であり、「失敗するにはあまりにも大きい」と述べています。これは、業界の成長が国の経済全体にとって不可欠であることを強調しています。
また、IBPAPは、AIの導入が一貫した国家戦略によって導かれるべきであると強く主張しています。業界の専門家は、AIがもたらす変化に対応するためには、AI戦略が断片的なアプローチではなく、国家レベルで統一されたアジェンダを持つことが不可欠であると考えています。これにより、フィリピンのIT・BPM業界は、単なる生き残りではなく、より高い価値を提供し続けることで、世界市場において不可欠な存在であり続けることを目指しています。
総評
この記事は、フィリピンのIT・BPM業界が引き続き堅調な成長を予測していることを伝えています。特に、多国籍企業の自社拠点であるGCCの誘致が、今後の成長戦略の中心であると強調されています。AIの導入や政策面での支援が、業界のさらなる進化と成長の鍵となることが示唆されています。