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マニラ・ウォーター、ワワ大容量給水プロジェクトの買収を完了し、首都圏の水供給体制を強化

ニュース記事

マニラ東地区の水道事業体であるマニラ・ウォーター社(Manila Water Co., Inc.)は、親会社であるプライム・インフラストラクチャー・キャピタル社(Prime Infrastructure Capital, Inc.、以下プライム・インフラ)から、ワワ大容量給水プロジェクト(Wawa Bulk Water Supply Project)の買収を完了したことを発表いたしました。

この取引は、378億ペソ(約980億円)を投じる大規模なものであり、規制当局への届出によると、関係者が取引条件を満たしたため、プロジェクト運営会社であるWawaJVCo, Inc.が正式にマニラ・ウォーターの子会社となりました。

ワワ給水プロジェクトは、元々プライム・インフラとサン・ロレンソ・ルイス・ビルダーズ・アンド・デベロッパーズ・グループによる合弁事業として設立され、メトロマニラへの給水量を大幅に増強することを目的とした主要な原水供給インフラ計画です。現在、首都圏の水供給はアンガットダムへの依存度が高いため、同プロジェクトは水資源の多角化と安定供給に大きく貢献することが期待されています。

プライム・インフラの社長兼最高経営責任者(CEO)であるギヨーム・ルッチ氏は、今回の取引が同社の水セクターに対する戦略的なコミットメントを明確に示すものだと強調しました。同氏は、中核的な水インフラプラットフォームであるマニラ・ウォーターに資産を統合することにより、システムの統合、運営効率の向上、そしてより質の高いサービス提供が可能になると述べています。これは、親会社グループ全体での相乗効果を最大限に引き出すための戦略的決定であると言えます。

この事業統合に伴い、マニラ・ウォーターは、技術的な互換性とシステムの効率性、そしてより柔軟な資源配分を確実に実現するため、タヤバサン堰(Tayabasan Weir)とアッパー・ワワダム(Upper Wawa Dam)という二つの主要施設の両方を一元的に運営することになります。タヤバサン堰は日量8,000万リットル(MLD)の容量を有し、すでに2022年10月から稼働しています。さらに、アッパー・ワワダムは日量最大7億1,000万リットルの大容量を誇り、今年12月には商業運転を開始する予定となっており、稼働開始により首都圏の水供給能力は大幅に強化される見込みです。

また、水処理インフラの拡充として、マニラ・ウォーターは、マンダルヨン市において、総工費39億ペソ(約100億円)を投じたアグリペイ下水処理場(STP)の完成が近づいていることも併せて発表しました。この新たな施設は日量6,000万リットルの排水処理能力を持ち、同社が運営する下水処理施設としては42番目にあたり、最も広範で先進的な施設の一つとなる予定です。現在、試験運転と試運転が進行中であり、完全稼働すれば65万2,000人以上の広範な住民層に便益をもたらすと見込まれています。マニラ・ウォーターは、マニラ首都圏の東ゾーン(マリキナ、パシグ、マカティ、タギッグ、パテロス、マンダルヨン、サンフアン、ケソン市とマニラの一部)とリサール州の複数の自治体を管轄し、サービスを提供しています。


総評

今回のワワ給水プロジェクトの統合は、マニラ・ウォーターが首都圏の慢性的な水不足問題に対し、長期的な解決策を講じる上で極めて重要な一歩です。親会社からの資産集約は、経営と運営の効率化をもたらし、大規模インフラプロジェクトの早期かつ確実なサービス提供を実現させるでしょう。これにより、同社が管轄する東ゾーンの住民は、将来にわたる安定した水供給に大いに期待を寄せることができると思われます。

https://www.bworldonline.com/corporate/2025/10/02/702352/manila-water-completes-takeover-of-wawa-bulk-water-supply-project/#google_vignette

家村 均