2030年、フィリピンのジェネレーション・アルファは人口の27%を占め、アジア最大の消費者市場へ
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調査会社BMIの報告によると、2010年から2024年の間に生まれたジェネレーション・アルファが、2030年までにフィリピンの総人口の27%を占める見込みです。これはアジア地域で最も高い割合であり、フィリピンが主要な消費市場として台頭する可能性を示しています。アジア諸国のうち、2030年時点でのアルファ世代の人口比率は、インドネシアとインドが23%、マレーシアとベトナムが21%に達する一方で、少子化と高齢化が進む日本は12%、韓国は11%と最も低い水準に留まると予測されています。アジア全体では、2030年までにジェネレーション・アルファの人口は約9億3570万人に達し、世界の総人口のほぼ50%を占めることになり、この世代は世界的な消費者トレンドを形成する主要な要因となります。
ジェネレーション・アルファは、高度に技術が発展した時代に生まれ、幼い頃からテクノロジーに触れて育った「デジタル・ネイティブ」と位置づけられています。彼らの親は主にミレニアル世代と初期のジェネレーションZであり、その支出習慣や価値観が、アルファ世代が市場でどのように進化していくかの基礎を築くとされています。世界的に見ると、2024年末までにジェネレーション・アルファは世界の総人口83億人の約24.2%を占める20億人に達しますが、2050年までには、その後に続くベータ世代（2025年〜2039年）やガンマ世代（2040年〜2054年）の台頭により、世界の総人口に占める割合は20%程度に低下すると予測されています。
フィリピン経済にとって、この若い人口層の増加は適切に管理されれば大きな資産となると考えられています。労働力の継続的な補充は、従属人口（非労働人口）比率の低下、生産性の向上、そしてより高い経済成長を意味します。しかしながら、政府がヘルスケアや教育といった不可欠な社会サービスを改善しなければ、現在の制度では増加する人口のニーズに適切に対応できない可能性があると警鐘を鳴らす専門家もいます。
したがって、人口増加をリスクから強みに変えるためには、機会へのアクセスと所得格差の是正といった社会課題を優先的に解決する必要があると強調されています。この報告は、フィリピンが将来の経済成長を確固たるものとするため、社会基盤の整備と公平性の確保が喫緊の課題であることを示唆しています。
総評
フィリピンのジェネレーション・アルファの急増は、同国に力強い経済成長と消費市場の拡大をもたらす大きな可能性を秘めています。しかし、その潜在能力を現実のものとするためには、医療、教育、そして機会の平等といった社会課題に対する政府の断固たる取り組みが不可欠です。デジタル・ネイティブであるこの世代の特性を活かしつつ、彼らを支える社会システムを構築することが、フィリピンの将来を左右する鍵となります。
慶応義塾大学経済学部卒業後、東急電鉄に入社し、海外事業部にて、米国・豪州・ニュージーランド・東南アジアなどで不動産開発や事業再構築業務に従事。また、経営企画部門にて東急グループの流通・メデイア部門の子会社・関連会社の経営・財務管理を実施した。（約15年）
その後は、コンサルティングファーム（アクセンチュア・ユニシス）や投資ファンド（三菱UFJキャピタル）などで、企業や自治体の事業再構築、事業民営化等の支援や国内外のM&A案件のアドバイザリーを実施。現在、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングにて、日本他の投資家および企業、ファンドなどに対してフィリピン不動産の販売やフィリピンへの事業進出のアドバイスを行っている。
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