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現実を直視する2026年フィリピン経済の展望:GDP下方修正と汚職の影を越える再構築の一年

ニュース記事

2026年1月5日、フィリピン政府の予算調整委員会(DBCC)は、2027年までの経済成長目標を下方修正すると発表しました。2025年第3四半期の成長率が、洪水対策プロジェクトを巡る大規模な汚職スキャンダルによる政府支出の停滞を受け、約14年ぶりの低水準(4%)に沈んだことを重く見た結果です。今回の目標引き下げは、これまでの高成長への期待感から、現実的な課題と向き合う局面への移行を意味しています。

政府は2026年の成長目標を従来の6〜8%から5〜6%へ、2027年を5.5〜6.5%へと、それぞれ現実的なラインに引き下げましたが、バリサカン経済担当相は、依然としてフィリピンがアジアで最も急速に成長する国の一つであると強調しています。

公共工事、中でも洪水対策事業において発覚した「ゴースト・プロジェクト(架空事業)」や過大なキックバックといった深刻な汚職問題は、政府支出の透明性に対する信頼を大きく揺るがしました。公共投資が経済の牽引役となるはずの時期に、ガバナンスの欠如が成長の足枷となった事実は無視できません。

一方で、ポジティブな要素もあります。インフレ率が政府目標の2〜4%に収まっていること、そして中央銀行による利下げサイクルが継続していることは、民間消費の底固さを支えるポジティブな材料です。

また、OFW(海外就労フィリピン人)による堅調な送金と雇用市場の安定が、個人消費という経済の屋台骨を守っています。政府が今回、あえて目標を下方修正したのは、無理な数字を追うのではなく、予算執行の効率化と汚職是正を通じた「質の高い成長」へと舵を切るための、必要な痛みと捉えることも可能です。

マルコス政権のBuid Better More (BBM)に基づくポテンシャルの高いインフラプロジェクトは依然として進行中です。これらが汚職のリスクを排除し、透明なプロセスで実行されるかどうかが、2026年の景気回復の鍵を握ることになります。政府には今、成長の「速度」を誇る以上に、ガバナンスの徹底、再構築が求められています。

総評:

今回の下方修正は、インフラ汚職という根深い構造的課題が経済成長にブレーキをかけた現実を反映しており、投資家には冷静な判断が求められる局面です。しかし、インフレの沈静化や利下げといった追い風は健在であり、消費主導の成長基盤そのものが崩れたわけではありません。2026年は、政府がガバナンス改革をどこまで徹底し、経済の透明性を回復できるかという「信頼の再構築」を試される一年となるでしょう。

本コラムは、下記ニュース記事の内容をベースに、筆者の見方、コメントなどを加えたものです。

https://www.bworldonline.com/top-stories/2026/01/05/722234/philippine-government-cuts-growth-targets-until-2027/

家村 均