フィリピンIT-BPM業界、2025年の躍進と2026年の展望:400億ドルの大台と雇用創出の行方
ニュース記事
フィリピンのIT・ビジネスプロセス管理(IT-BPM)業界は、2025年末時点で極めて順調な成長を遂げていることが明らかになりました。フィリピンIT・ビジネスプロセス協会(IBPAP)の報告によれば、同業界は売上高400億ドル、雇用者数190万人という意欲的な目標の達成に向けて着実に歩みを進めています。
2024年時点では売上高380億ドル、直接雇用者数182万人という規模でしたが、2025年の1年間だけで輸出収益は約20億ドル増加し、新たに約8万人の雇用が創出されました。この数字は、世界的な経済情勢の不透明感の中でも、フィリピンの同セクターが依然として力強い成長エンジンであることを物語っています。
この業界の堅調な推移は、フィリピン全体の経済にとっても多大な恩恵をもたらしています。IT-BPMセクターの堅調さは国内総生産(GDP)の成長を支えるだけでなく、貴重な外貨獲得源として機能し、国内の雇用環境を安定させることで、株式市場全体のセンチメントの底上げ効果もあります。
具体的に影響を受けるセクターを見ると、まず不動産業界が挙げられます。BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)企業を主要なテナントに持つオフィスビルのオーナーは、入居率の改善と賃料の安定化を享受しています。特に、コストメリットが大きく、人材確保の面でも魅力的な主要ビジネス地区(CBD)以外の地方都市への進出が進んでいる点は注目に値します。
また、金融セクターにも間接的な好影響が波及しています。安定した雇用創出は消費者の信用力を高め、住宅ローンや自動車ローン、クレジットカードなどの個人向け融資の成長を後押ししています。
さらに、通信・データ関連企業にとっては、クラウドサービスやデータ通信への需要拡大が中長期的な収益成長の柱となっています。現在の市場トレンドとしては、従来のカスタマーエクスペリエンス(CX)や財務・会計に加え、ヘルスケアITやAI(人工知能)サポートといった、より高度な知識プロセスアウトソーシング(KPO)への移行が進んでいます。これにより、従業員一人あたりの収益性も向上しており、AIを活用したワークフローの導入が新たな付加価値を生んでいます。
さらに、通貨ペソの下落局面においては、外貨を稼ぐIT-BPM業界は為替メリットを享受しやすく、国の国際収支を下支えする重要な役割を担っています。
総評:
フィリピンのIT-BPMセクターは、単なるアウトソーシング拠点から、AIや高度な専門知識を駆使する高付加価値産業へと着実に進化を遂げています。この成長は不動産や金融、通信といった幅広い国内産業に波及効果をもたらしており、フィリピン経済全体のレジリエンス(回復力)を高める屋台骨となっています。今後も、テクノロジーの進化を柔軟に取り入れながら、グローバルな需要を取り込み続けることで、同国の成長神話を牽引していくことが期待されます。
本記事は、フィリピンの証券会社・ABキャピタル証券の20260102のレポート・ The Opening Bellから抜粋、要約し、筆者のコメントを加えたのです。
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