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フィリピン株式市場・新興テックボード創設への動き

ニュース記事

フィリピン政府が、フィリピン証券取引所(PSE)に「新興テクノロジーボード(Emerging Technology Board)」を創設する構想を本格化させています。情報通信技術省(DICT)のヘンリー・アグダ長官が明らかにしたこの計画は、米国のナスダックをモデルとしたもので、高い成長性を持ちながらも従来の厳しい上場基準を満たすことが難しかった革新的なテクノロジー企業に対し、資本市場への門戸を広げることを目的としています。現在、DICTは証券取引委員会(SEC)や貿易産業省(DTI)と緊密に連携しており、早ければ2026年上半期中にも具体的な政策指針が策定される見通しです。

特筆すべきは、この構想に対してすでに国内のテクノロジー企業15社が関心を示しているという点です。これまでフィリピンの株式市場は、大手財閥系企業や伝統的な製造業、不動産業によって牽引されてきました。しかし、デジタル経済の急速な拡大に伴い、多くの新興企業が資金調達の手段を求めています。新興テックボードの設置は、上場時における浮動株比率や最低時価総額、ディスクロージャー(情報開示)の要件を柔軟に設定することで、これらの企業の成長を後押しする土壌を整える狙いがあります。市場関係者からは、政府が官民ファンドを通じて上場企業へ投資を行うなど、さらなる支援策を望む声も上がっています。

この動きは、フィリピン株式市場全体に極めてポジティブな影響を及ぼすと期待されています。まず、市場の多様性が飛躍的に向上します。伝統的な「低成長・高配当」モデルが主流だった市場に、高い資本利得(キャピタルゲイン)を期待できるテック企業が加わることで、これまで市場に無関心だった若年層の個人投資家や、成長株を求める外国人投資家を呼び込む強力な呼び水となります。また、テクノロジーセクターが活性化することで、フィリピン経済そのものが「オールドエコノミー」から、イノベーション主導の「デジタルエコノミー」へと変革を遂げていることを国内外に強く印象付けることができます。

一方で、成功の鍵は制度の「信頼性」にあります。上場基準を緩和しつつも、投資家保護のための透明性やガバナンス体制をいかに維持するかが重要です。もし投機的な銘柄の溜まり場となってしまえば、市場全体の信頼を損ねるリスクも孕んでいます。しかし、政府と規制当局が強固な協力体制を敷き、適切な監視体制を構築できれば、PSEは東南アジアにおける新たなテックハブとしての地位を確立できるでしょう。この新興ボードの創設は、フィリピンの資本市場が現代的な経済構造へと進化するための、歴史的な一歩になると言えます。

今回の新興テックボード創設に向けた動きは、フィリピン株式市場の構造改革を促す画期的な試みです。投資家層の拡大と市場のダイナミズム向上が期待される反面、制度設計における厳格な統治能力も問われることになるでしょう。デジタル時代の新たな成長エンジンとして、この構想が結実することを強く期待します。

https://www.bworldonline.com/corporate/2026/01/28/726881/govt-eyes-emerging-tech-board-at-pse-as-15-firms-signal-interest/

家村 均