危機の中に光明を見る─ACENが語る再生可能エネルギーの今
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中東情勢の緊迫化が引き起こした原油高騰に世界が揺れる中、アヤラグループ傘下の再エネ会社ACENコーポレーションは、逆風の中に確かな商機を見出しています。同社は、2026年フィリピン・エネルギーフォーラムの登壇後、記者団に対し、再生可能エネルギー(RE)の余剰供給こそが「好機」であると述べ、「顧客に販売できる余剰電力があるという意味で、これは明るい兆しです。今こそREを企業顧客に提案するタイミングです。在庫があるのですから」と語りました。
原油依存から脱却し自国産エネルギーへの転換を進めてきたACENにとって、今回の国際的なエネルギー危機は、その戦略の正しさを改めて示す機会となっています。同社は、今回の状況が、再生可能エネルギーや蓄電設備といった国内産エネルギー源への投資の必要性を浮き彫りにしていると指摘しました。化石燃料への依存を減らすことが、価格変動リスクを回避する最善策であるという考えは、中東紛争が長引く中で説得力を増しています。
一方で、楽観視だけでは語れない課題もあります。紛争に伴うインフレや金利上昇が、投資・消費判断を慎重にさせる可能性があり、サプライチェーンの問題、工期の遅延、資本コストの上昇などにより、RE事業にもコスト上昇圧力がかかる点は考慮しなければなりません。世界的なエネルギー転換の機運とコスト上昇という二律背反の中で、再エネ事業者もまた難しいかじ取りを迫られています。
財務面に目を向けると、足元の状況は決して順調ではありませんでした。2025年のACENの純利益は、スポット市場価格の下落と操業上の課題から、前年比60%減の38億ペソに落ち込み、売上高も14%減の320億ペソとなりました。 しかし、今後の見通しについては前向きな姿勢を崩していません。今年は総合的な財務パフォーマンスの観点から、昨年より強くなることが見込まれるとし、イロコス・ノルテで被害を受けた風力発電所の復旧や、昨年稼働を開始した大型発電所の本格的な収益貢献を成長の柱として挙げました。ACENはフィリピン国内にとどまらず、オーストラリア、ベトナム、インド、インドネシア、ラオス、米国など複数の市場で事業を展開しており、グローバルな再エネ企業としての存在感を着実に高めています。
【総評】:
中東発の原油ショックは、化石燃料依存の脆弱性を改めて世界に突きつけましたが、ACENはその逆風をREシフトの加速への好機と捉えています。前年の大幅な減益という試練を経ながらも、余剰電力の有効活用と設備復旧・新規稼働の積み重ねで業績回復を目指す同社の姿勢は、エネルギー安全保障と脱炭素化を両立させようとするフィリピン産業界の縮図といえます。
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