日本格付研究所は、フィリピンの信用格付けを投資適格水準のシングルAマイナス+安定的な見通しで据え置き
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日本の信用格付け機関である日本格付研究所(JCR)は、フィリピンの信用格付けをシングルAマイナス(A-)+安定的な見通しで据え置きました。これは、フィリピン政府が財政健全性を維持していくことが期待されているためです。
JCRは、フィリピンの高水準で持続的な経済成長、堅調な内需、低水準の対外債務、蓄積された外貨準備高による外部ショックへの耐性、そして堅固な財政基盤を評価しました。
しかし、JCRはフィリピンは農村開発やインフラ整備を通じた所得格差の縮小が必要だと指摘しています。
JCRは、2022年6月に就任したマルコス政権が中期財政枠組みをもとに推進している財政健全化が奏功しているとみています。そのため、政府は今後も財政健全性を維持していくと期待しています。
JCRは、2024年の実質GDP成長率は、外部需要と観光需要の回復、物価上昇の抑制と海外フィリピン人からの送金による安定した個人消費に支えられて、6%程度になるとみています。これは、2023年の5.6%増をわずかに上回るものの、政府が目標としている6.5%から7.5%よりは低くなっています。
2023年の経済成長は、堅調な個人消費、改善した雇用市場、旺盛な送金、インフラ投資が牽引したとしています。
JCRはまた、マルコス政権によるインフラ整備計画(BBM:Build Better More)プログラムが経済成長を後押しするとみています。このプログラムの下、政府は年間GDPの5~6%をインフラプロジェクトに投じることを目指しています。
JCRは、2023年のインフラ投資対GDP比は5.8%に達したと推定しています。
また、フィリピンのソブリンウェルスファンド・マハリカ投資会社(MIC)がインフラ投資を支援するだろうとしています。
マルコス政権は、効果的かつ効率的な公共支出を通じて、2025年までに政府債務対GDP比率を60%未満、2028年までに財政赤字をGDPの3%以下に削減することをコミットしています。
2023年末の政府債務対GDP比率約60%は、JCRがA-レンジで格付けしている国の中でも最低水準の一つであるとしています。
フィリピン中央銀行 (BSP) のレモラナ総裁は、別途の声明で、JCRによるフィリピンの投資適格信用格付けの維持を歓迎しました。
レモラナ総裁は、「海外フィリピン人からの送金、ビジネスプロセスアウトソーシング収入、外国直接投資、観光収入からの持続的な外貨流入によって、フィリピンの外貨決済ポジションは引き続き良好に維持されるだろう。また、フィリピンは十分な外貨準備高を維持していると述べています。
本記事は、下記ニュースを要約したものです。
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