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トランプ関税で、フィリピン競争優位に?

ニュース記事

トランプ大統領は、すべての貿易相手国に対する「相互関税」政策の一環として、フィリピンからの輸出品に対して予想以上の関税を課すことを発表しました。これは、フィリピンにも影響を及ぼしますが、東南アジア諸国の中では比較的低い関税率であると、フィリピン政府関係者は影響を軽視しています。

フィリピンの財務長官ラルフ・G・レクト氏は、国内需要に支えられた経済は、比較的影響が軽微とした一方で、国際貿易の減少や世界経済の減速が、サプライチェーンの混乱、高金利、インフレといった要因により懸念されるとも言っています。

比貿易産業省大臣は、相互関税はフィリピンにとって地域競合国よりも優位な立場を得られる戦略的チャンスであるとし、アメリカとの貿易関係を強化するために米国側との会談を求める意向を示しました。トランプ氏は全ての貿易相手国に一律10%の関税を課すとともに、フィリピンなどの主要貿易国には個別に高い相互関税を課すことを発表しました。フィリピンには17%の「割引相互関税」が課される予定です。

東南アジア諸国の中では、カンボジア(49%)やラオス(48%)、ベトナム(46%)などが高関税に直面しており、フィリピンは2番目に低い17%となっているため、これはむしろ有利な状況と捉えられています。比農業大臣も、より低い関税率を生かし、特にココナッツ製品などの輸出拡大が期待されると述べています。また、銅鉱石やIC(集積回路)など、一部の重要品目については関税の適用除外となっています。

しかし、食品や農業関連商品については除外されておらず、アメリカ市場での需要減少が懸念されています。特に電子機器、アパレル、履物、繊維製品といった主要輸出品は、価格競争力の低下が見込まれています。フィリピンの輸出全体の17%をアメリカが占めており、2024年の対米輸出額は121億4,000万ドルに達しました。そのうち約53%を電子製品が占めています。

フィッチ・レーティングスのアナリストは、トランプ大統領の今回の関税政策は米国経済のみならず世界経済にとっても「ゲームチェンジャー」とし、多くの国が景気後退に陥る可能性があると警告しました。

フィリピン関税委員会は、今回の措置がフィリピンの成長にマイナス影響を与える可能性があると指摘しています。アパレル輸出協会の関係者も、フィリピンの製品はベトナムやカンボジアに比べて既に価格が高く、関税が加われば競争力がさらに低下するとの懸念を示しました。

一方、政府関係者の間では、新たな輸出先の模索も始まっており、中東やアフリカ市場が注目されています。さらに、外国企業がフィリピンに生産拠点を設けることにより、比較的低関税を利用してフィリピンから米国への輸出を拡大しようという動きも見られます。

総評

今回の相互関税措置は、世界経済全体にはマイナス影響が大きいものの、フィリピンにとっては、アセアン地域内では相対的に有利な立場にあることが明らかになりました。

一方で、主力輸出品への影響やアメリカ市場の需要縮小のリスクを無視することはできず、政府と民間の連携による対策、及び新市場の開拓が重要となる局面です。加えて、米国との自由貿易協定(FTA)交渉を通じた市場アクセス改善も長期的な戦略の一つとして重要です。

https://www.bworldonline.com/top-stories/2025/04/04/663861/us-slaps-higher-tariff-on-philippines/

家村 均