フィリピン大手銀行BPI好決算発表
ニュース記事
バンク・オブ・ザ・フィリピン・アイランド(BPI)が発表した2025年第1四半期の決算は、市場の予想とほぼ一致する内容となりました。当期の純利益は166億ペソに達し、前年同期比で9%の増加、前期比では18%の大幅な増加を記録しました。この数値は、ブルームバーグのコンセンサス予想の25%、バンク・オブ・アメリカの2025年予想の24%に相当し、BPIの業績が市場の期待範囲内であったことを示しています。年換算後の自己資本利益率(ROE)は15.4%、総資産利益率(ROA)は2.05%と算出されます。
金利収入前営業利益(PPOP)は、前年同期比で13%の増加を達成しました。この成長の主な要因は、堅調な貸出残高の伸びと、純金利マージン(NIM)の拡大です。これらのプラスの要素が、営業費用の増加と非金利収入の減少というマイナスの影響を打ち消す結果となりました。
貸出残高は、前年同期比で13%という高い伸びを維持しました。昨年実施されたRBankとの統合による高いベースがあったにもかかわらず、この成長は主にリテールや消費者ローンといった非機関投資家向けセグメントによって牽引されました。純金利マージン(NIM)も改善傾向が続いており、前年同期比で30ベーシスポイント(bp)、前期比で12bp拡大し、4.49%となりました。これは、より高い利回りが見込めるリテール・消費者向けセグメントの貸出が増加したことによるものです。
一方で、引当金は前年同期比で100%増、前期比で67%増の30億ペソとなりました。この増加は、よりリスクの高いセグメントにおける成長加速に対応するための、事前のガイダンスに沿ったものです。不良債権比率(NPLレシオ)は、前期の2.13%から2.26%へとわずかに上昇しました。また、不良債権カバー率も前期の106%から100%へと小幅に低下しています。これらの状況は、今後の四半期において引当金の積み増しを緩和する余地が限られていることを示唆しています。
バンク・オブ・アメリカのアナリスト、ダニエロ・ピカチェ氏は、BPIに対して「アウトパフォーム」の投資判断を維持しており、目標株価を市場コンセンサスを上回る161.60ペソに設定しています。しかしながら、現在の投資判断の優先順位においては、バリュエーションと今後の利益修正の見込みから、BDO、メトロバンク(MBT)、セキュリティバンク(SECB)に次ぐ評価となっています。年初来のBPIの株価パフォーマンスは+10.7%と非常に好調であり、年初来の海外投資家による買い越し額においても上位にランクインしています。
総評
バンク・オブ・ザ・フィリピン・アイランドは、2025年第1四半期において、市場の期待に応える堅調な業績を達成しました。特に、力強い貸出成長と純金利マージンの拡大が収益増加に大きく貢献しており、そのビジネスの勢いが持続していることが示唆されます。しかしながら、リスクの高いセグメントへの貸出増加に伴い、引当金が増加し、不良債権比率が若干上昇している点は留意が必要です。アナリストによる投資判断は分かれており、株価のバリュエーションや今後の業績修正の可能性を考慮しながら、慎重な投資判断が求められると考えられます。年初来の株価の好調と海外投資家の強い関心はポジティブな要素ではありますが、今後の市場環境や競合他社の動向も注視していく必要があるでしょう。
本記事は、フィリピンの証券会社・ABキャピタル証券の20250422のレポート・ The Opening Bellから抜粋、要約したものです。
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