フィリピン政府、インフラ旗艦プロジェクトを拡充
ニュース記事
フィリピン政府は、新たにインフラ旗艦プロジェクト(IFP)を承認し、プロジェクト数は207件、総額は1,780億ドル(約9兆8,600億ペソ)に達したと経済企画開発省(DEPDev)が発表しました。4月30日時点で、以前の186件、9兆6,000億ペソから拡大した形です。これらのプロジェクトは、経済全体の成長を促進することを目的としており、主に物理的な接続性、農業、水資源の確保、そして医療分野に重点を置いています。
具体的には、物理的接続に関するプロジェクトが139件と最も多く、水資源関連が32件、農業が9件、デジタル接続が6件、医療が5件、電力・エネルギーが3件、住宅と教育がそれぞれ2件ずつとなっています。
DEPDevによれば、一部プロジェクトが削除される一方で、新たに追加されたものもあり、民間部門単独で実施されるプロジェクトも含まれていると説明されました。PPPなど民間主体であっても旗艦プロジェクトの基準を満たし、情報開示などの要件に従えばIFPとして認定されます。
2024年には7件のIFPが完了しており、2025年には13件の完成を目指しています。マルコス政権は、GDPの5〜6%をインフラ投資に毎年充てる方針を掲げています。
フィリピン経済は今後25年間で2兆ドル規模に成長する可能性があるとされています。現在の経済規模は3,920億ドルであり、中間年齢27歳という若年でデジタル技術に精通した英語を話す労働力が、今後の競争優位性の鍵を握るとしています。国民一人当たりの国民総所得(GNI)は現在4,320ドルで、上位中所得国の基準に近づいており、2050年には人口が1億3,600万人、中央値年齢が37歳、GNIは1万8,336ドルに達すると予測されてます。
現在フィリピンは世界銀行の分類において下位中所得国に位置しており、その基準はGNIが1,146〜4,515ドルの範囲です。上位中所得国は4,516〜14,005ドルの範囲で分類されます。
また、フィリピン政府は自由貿易協定(FTA)の締結を積極的に進めています。特にアメリカとのFTA交渉を早急に進めるべきであり、他国との二国間および多国間のFTAも並行して推進することが戦略的に重要です。シンガポールのように広範なFTA網を築くことが理想とされており、交渉は部分的ではなく、全体的な貿易政策の効果を見据えて行うべきだとされています。
総評:
フィリピン政府はインフラ整備と自由貿易拡大を通じて持続的な経済成長を目指しています。若年層を中心とした労働力と成長潜在力は国際的な投資先としての魅力を高めています。今後は、政策の実行力と透明性の確保が鍵となるでしょう。
- 最新:アジア開発銀行のフィリピンへの提言 - 05/08/2025
- フィリピン政府、インフラ旗艦プロジェクトを拡充 - 05/08/2025
- 国際港湾運営会社ICT、トランプ関税下でも業績堅調維持 - 05/07/2025