バイオディーゼル+輸出拡大:化学メーカーDNL
ニュース記事
DNLのバイオディーゼル事業に関連する重要な動きがありました。フィリピンエネルギー省は、国家バイオ燃料委員会(NBB)が、2025年10月に予定されていたバイオディーゼルのブレンド比率引き上げ(B4)と、2026年の更なる引き上げ(B5)の実施を延期する決定を下したと発表しました。この延期の主な理由は、ココナッツオイル(CNO)の価格高騰によるものであり、政府は燃料コストへの影響を抑えるため慎重な姿勢を取っています。
この延期は、D&Lの子会社Chemrezの収益成長に一定の影響を与える可能性があります。ケムレズはD&L全体の売上高の約23%、利益の約28%を占める中核事業であり、バイオディーゼル市場では国内トップの地位を築いています。直近の2025年第1四半期には、ケムレズの粗利益率(GPM)が前年同期の19.1%から13.3%に低下しており、原材料価格の高騰が圧迫要因となっていました。ただし、最近ではCNO価格に緩和の兆しが見られ、今後のコスト負担軽減および利益率の回復が期待されています。
一方で、D&Lにとって輸出事業は依然として成長の原動力であり、特に収益性の面で国内市場を大きく上回っています。輸出部門の粗利益率は18.3%と、国内市場の9.8%と比べて高い水準を維持しており、グローバル市場における自然・持続可能な製品への需要の高まりが追い風となっています。具体的には、個人・家庭用ケア製品を展開するナチュラ・アエロパックや、食品部門のD&Lプレミアムフーズが主力であり、これらが国際市場での多角的成長に寄与しています。
また、D&Lは新たな生産能力を背景に、2024年から2026年にかけて年平均成長率(CAGR)18%という長期的な成長目標を掲げています。こうした背景のもと、ABキャピタル証券は、同社株の「アウトパフォーム」評価を継続し、目標株価をP8.75に据え置いています。バイオディーゼルのブレンド比率引き上げが中長期的にはポジティブ要因であること、ケムレズがココナッツメチルエステル(CME)分野でのマーケットリーダーであること、そして原材料価格の落ち着きと輸出の強さが今後の成長を下支えすることが評価の根拠です。
総評:バイオディーゼルのブレンド比率引き上げ延期は短期的には中立的ですが、コスト圧力の緩和と輸出好調がD&Lの収益を支えています。Chemrezの業績回復と輸出主導の成長が今後の焦点です。中長期的な投資魅力は引き続き維持されているといえます。
本記事は、フィリピンの証券会社・ABキャピタル証券の20250619のレポート・ The Opening Bellから抜粋、要約したものです。
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