マニラ副都心クラークの最新開発動向
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メトロクラークは、パンパンガ州とタルラック州の一部を含む地域で、かつての米軍空軍基地からフィリピン有数の成長拠点へと急速に発展しています。ルソン島の中心に位置する地理的優位性により、ヌエバエシハ、ラ・ウニオン、サンバレス、イロコス・ノルテなどの北方州とのアクセスに優れており、人口の多いセントラル・ルソン地域が経済成長を支える人材供給源となっています。
2024年、クラーク開発公社(CDC)は770億ペソの投資承認を記録し、前年から22倍もの増加を示しました。これらの投資は再生可能エネルギー、半導体、電子機器、製薬、医療機器、グリーンミネラル、農業、鉄鋼といった分野での工場建設活動を活性化させる見込みです。
インフラ面では、政府と民間の連携により世界水準の整備が進められています。BCDA(基地転換開発庁)は、フィリンベストや韓国国家行政都市建設庁(NAACC)、関西電力、中部電力、丸紅などと連携し、新クラークシティの計画・開発を推進しています。クラーク国際空港は、フィリンベスト、JGサミット、チャンギ空港、PAGSSからなるLIPADコンソーシアムによって運営され、非接触チェックインや効率的な荷物処理システムなどの最新設備を備え、国内外の旅行者にとって利便性の高い玄関口となっています。
陸路のアクセスも強力で、SCTEX(スービック・クラーク・タルラック高速道路)はスービック湾経済特区と、NLEX(北ルソン高速道路)はマニラおよびブラカンとメトロクラークを結んでいます。将来的には、スービック・クラーク鉄道やマロロス・クラーク鉄道の整備により、物流の効率化と新たな投資回廊の創出が期待されています。
メトロクラークでは、ビジネスのしやすさも大きな魅力です。政治的干渉がなく、行政手続きも簡素化されています。さらに、CDC、PEZA、BoIなどの経済特区内では、法人税免除、関税免除、付加価値税ゼロ、労働・研修・研究開発費用の税額控除など、多様な税制優遇措置が提供されています。
2025年第1四半期には、パンパンガとタルラックが国内倉庫需要の32%を占め、特にパンパンガだけで約20%の需要を獲得し、マニラを上回る実績を示しました。マバラカット市やアンヘレス市は、NLEX沿いに位置することから、マニラや北部ルソン、スービックへのアクセスが良く、企業誘致の重点地域となっています。
工業団地の開発も積極的に進められています。代表例として、マバラカット工業団地(8ヘクタール)やブンダグルの1万平方メートル規模の倉庫が挙げられます。また、フィリンベスト・イノベーションパーク(第1期)やBCDAによる新クラークシティ内の100ヘクタールの産業団地、DTIと連携した15ヘクタールの医薬品製造ハブなど、重工業や物流向けの施設の整備が進行中です。
産業の発展と並行して、住宅、商業、レジャー分野も活性化しています。新クラークシティの低価格住宅プロジェクトや、SMによるアンヘレス市の高層住宅開発がその一例です。また、ユニクロやナイキを含む商業施設の出店、フィリンベスト・ミモサ・モールの開業、さらにはマリオット、スイソテル、ヒルトンといった国際的ホテルの進出により、ビジネスと観光の両面で魅力を高めています。ハン・カジノ・リゾートの拡張やバンヤンツリー、ウィンダム、ベル社のプロジェクトも、地域全体の都市機能を底上げしています。
総評:
メトロクラークは、インフラ、制度、立地の三拍子が揃った、国内有数の投資先として急浮上しています。産業、住宅、観光の融合が地域の一体的発展を促しています。今後も中長期的な成長が大いに期待される地域です。
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