フィリピン議会、オンラインギャンブル規制強化の審議開始
ニュース記事
フィリピン政府がオンラインギャンブルの規制強化を進める中、統合型リゾート(IR)事業者は、物理的なカジノへの需要増加の恩恵を受ける可能性があります。Solaire Resortsを運営するBloomberry Resortsや、City of Dreams Manilaの土地所有者であるBelle Corp.などが、代表的なIR運営企業として挙げられています。
一方で、物理カジノはオンラインギャンブルの規制強化による直接的な影響は少なく、異なる市場層を対象としていることから一定の耐性があるとされています。特に、物理カジノはVIP層を中心にしています。物理カジノへの更なる規制は、PAGCOR(フィリピン娯楽賭博公社)の税収への打撃が大きいため、実施されにくいと見られています。
規制強化の影響はIR業者にとって限定的とみており、投資家が資本を移す場合は、銀行業や一部のコングロマリットなど、より成長が見込める分野を選好する可能性があると見られています。また、オンラインギャンブル大手DigiPlus Interactiveが市場の牽引役となっていたため、その存在感が薄れることでセクター全体の魅力が低下する可能性があります。
7月5日には、Bloomberryの株価が前日比8.72%下落しP4.29に、Belleも3.75%下落しP1.54となりました。DigiPlusの株価も大幅に下落し、23.87%安のP29.50となっています。
また、オンライン利用者の一部が地上型カジノではなく、違法業者に流れるリスクがあるとの指摘もあります。オンラインギャンブルへの依存症増加を受けて、複数の議員が規制強化法案を提出しており、財務省は課税やアクセス制限策を検討中です。また、中央銀行は銀行や電子決済業者に対し、オンラインギャンブルのリスクを抑えるための新たな規制を準備しています。
総評:
オンラインギャンブル規制強化により、IR事業者には一定の追い風が吹く可能性がありますが、業界全体への影響は多面的です。投資家心理や消費者の行動変化、違法業者への流出といったリスクにも留意が必要です。長期的には、オンラインと地上型の双方で柔軟な事業展開が求められるでしょう。
- フィリピンの銀行融資増加傾向 by S&P - 07/10/2025
- トランプ関税懸念下、フィリピン製造業堅調維持 - 07/09/2025
- フィリピン議会、オンラインギャンブル規制強化の審議開始 - 07/09/2025