フィリピン不動産市場、6,800万ペソ以上の高級物件が依然として堅調 by Leechiu
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フィリピン不動産市場において、特にメトロマニラのコンドミニアム市場では供給過剰が深刻化しており、リーチュ・プロパティ・コンサルタンツ(Leechiu)によれば、現在の在庫を吸収するには約3年を要する見通しです。メトロマニラ全体のコンドミニアム総在庫数は76万4,100戸に達しており、そのうち完成済みの即入居可能(RFO)物件は61万9,000戸、プレセール中の物件は14万5,000戸となっています。RFO物件の販売率は95%と高水準を保っていますが、プレセール物件の販売率は62%にとどまっています。
2025年第2四半期における総需要は前四半期比で2%増の6,643戸となりましたが、中間所得層および上位中間層による需要はそれぞれ41%減および31%減と大きく減少しています。地域別では、ケソン市が最も多くのRFO在庫(1万9,500戸)を抱えており、次いでオルティガス(1万5,000戸)、ベイエリア(1万3,800戸)、マニラ市(1万1,400戸)の順となっています。
新規のコンドミニアム供給は前期比31%増の1,761戸となっており、市場全体の供給在庫は8万2,800戸に達しています。これは現状の需要水準から見て、約3年分に相当する供給過剰状態です。需要は国内GDPの成長、IT-BPM業界の拡大、さらには今後見込まれる政策金利の引き下げなどが下支えとなっています。
価格帯別では、6,800万ペソ以上の高級物件セグメントが依然として堅調で、未販売在庫のうちわずか1%しか占めていません。市場全体の在庫構成(価値ベース)では、アップスケール物件が37%、ハイエンドが16%、上位中間層が31%、中間層が10%、下位中間層が5%を占めています。
AB Capital証券は、不動産セクター全体に対しては中立的な見方を維持していますが、トップピックとしてアヤラ・ランド(ALI)を挙げています。同社は高級・超高級住宅分野において堅実な開発を行なっており、先行予想PERベースで12.8倍で取引されています。
総評:
メトロマニラのコンドミニアム市場は、供給過剰と所得層別の需要鈍化が顕在化しています。特に中間層以下の購買力が伸び悩む中、全体の在庫消化には時間を要する見通しです。高級物件は相対的に堅調であり、投資家は価格帯と立地の選別が重要となる局面です。
本記事は、フィリピンの証券会社・ABキャピタル証券の20250711のレポート・ The Opening Bellから抜粋、要約したものです。
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