2025年6月のフィリピン銀行貸出動向と国内流動性についての概況
ニュース記事
フィリピンの中央銀行(BSP)発表によると、2025年6月の銀行貸出残高は前年同月比12.1%増の13.55兆ペソに達し、4か月ぶりの高水準となりました。これは5月の11.3%増から加速し、2月の12.2%増以来の伸びを示しています。貸出は特に居住者向けが12.6%増加し、非居住者向けは6.4%減少したものの減少幅は緩和傾向にあります。
貸出の大部分を占める企業向けローンは11.1%増となり、そのうち不動産業関連の拡大(9.9%)、電力・ガス供給(29.2%)、金融・保険業(12.0%)、輸送・保管業(15.9%)が成長を牽引しました。消費者ローンも好調で、前年同月比24.0%増、特にクレジットカード貸出は29.9%増、自動車ローンは18.4%増、給与担保型の一般消費ローンも8.3%増加しています。
国内流動性(M3)は前年同期比6.3%増の18.6兆ペソで、5月の5.5%増から加速しました。M3は通貨流通量、銀行預金、その他即時換金可能な金融資産を含む指標で、経済の広範なマネーサプライを示します。月次では季節調整後1.2%増加しています。
中央銀行の利下げサイクルが貸出成長を後押ししており、預金準備率の引き下げも銀行の貸出資金拡大に寄与しています。今後も追加利下げの可能性があり、貸出の増加傾向は継続する見込みです。これは、ビジネスセンチメントの改善や選挙に向けた支出、投資の回復による信用需要の強さを反映しています。
総評
貸出の活発化は経済活動の拡大を示唆しており、不動産市場や株式市場にとって追い風となる可能性が高いと言えます。特に不動産業向け貸出が拡大していることは、住宅や商業施設の開発が活発化し、供給と需要のバランスにポジティブな影響を与えるでしょう。
ただし、前回のメトロマニラのマンション市場動向と併せて考えると、特に中所得層向け市場の供給過剰や高空室率の課題は依然として存在します。投資家は貸出増加に伴う市場回復期待を持ちつつ、区域別の需給環境を精査することが重要です。
銀行貸出が消費者ローンを含めて伸びていることは、個人消費や耐久財需要の増加を示すため、関連セクターの株式や不動産投資信託(REIT)への影響も注視すべきです。
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