最新:フィリピン株式市場の外国人売買動向
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2025年7月のフィリピン株式市場では、外国人投資家による資金流出の流れが続き、純売り越し額は約2,900万米ドルに達しました。これにより、2025年1月から7月までの累計では6億2,300万米ドルの資金流出となり、前年の年間流出額4億80万米ドルを上回る状況となっています。
7月に外国人が買い越した主な銘柄としては、ICTことInternational Container Terminal Services(ターミナル運営)、大手複合企業のGT Capital Holdings, Inc.(GTCAP)、Ayala Corporation(AC)、再エネのCitycore(CREC)、オンラインカジノのDegi Plus(PLUS)、不動産開発のAyala Land, Inc.(ALI)、カジノのBloomberry Resorts Corporation(BLOOM)、大手複合企業のJG Summit Holdings, (JGS)、食品・消費財のUniversal Robina Corporation(URC)、そして小売業を展開するRobinsons Retail Holdings, Inc.(RCR)が挙げられます。
一方で、7月に外国人が売り越した主要な銘柄は、銀行業のBank of the Philippine Islands(BPI)、複合企業で小売分野も含むSM Investments Corporation(SM)、外食業のJollibee Foods Corporation(JFC)、通信大手のGlobe(GLO)、銀行のBDO Unibank(BDO)やMetropolitan Bank & Trust Company(MBT)、不動産のSM Prime Holdings(SMPH)、通信のConverge ICT Solutions(CNVRG)、コンビニのSeven & i Holdings Philippines(SEVN)、および再生可能エネルギーを手掛けるAC Energy Corporation(ACEN)です。
2025年の1月から7月までの累計で見ると、外国人投資家が特に買い越した銘柄には、China Bank(CBC、銀行)、Degi Plus(PLUS、オンラインカジノ)、不動産投資信託のAREIT、財閥のGT Capital(GTCAP)、小売のRobinsons Retail Holdings(RCR)、港湾運営のInternational Container Terminal Services.(ICT)、水道事業のManila Water Company(MWC)、電力事業のManila Electric(MER)、再生可能エネルギーのCitycore Energy(CREC)、そしてPhilippine National Bank(PNB、銀行)などが名を連ねています。
逆に累計で多く売られた銘柄は、SM Prime Holdings, Inc.(SMPH、不動産)、Ayala Land(ALI、不動産)、Jollibee Foods Corporation(JFC、外食)、Metropolitan Bank(MBT、銀行)、Globe Telecom(GLO、通信)、同じく通信のPLDT(TEL)、JG Summit(JGS、財閥)、SM Investments Corporation(SM、財閥)、Bloomberry Resorts Corporation(BLOOM、カジノ)、およびAC Energy (ACEN、再生可能エネルギー)です。
これらの動向から読み取れるのは、銀行セクターのBPI、BDO、MBTといった銘柄が継続して売られている一方で、大手複合企業のGT CapitalやJG Summitには資金が流入していることです。不動産関連の銘柄では、Ayala LandやSM Prime Holdingsが全体的に敬遠される傾向にあるものの、一部の銘柄には買いも見られており、銘柄ごとに投資家の反応に差があることがうかがえます。
通信分野であるGlobeやConverge ICT、および再生可能エネルギーのAC Energyは全般的に売却傾向が続いています。カジノのBloomberryに関しては、外国人投資家の買いが増加しています。
消費財セクターのUniversal Robinaでは継続的に外国人買いが観察されており、消費動向に対する期待感が感じられます。しかし全体としては、外国人投資家は依然として慎重な姿勢を崩しておらず、フィリピン市場からの資金流出超過が継続しているのが現状です。
これらの外国人投資家の動向を踏まえ、個人投資家は市場の資金の流れを冷静に分析し、買いが優勢なセクターや銘柄に注目する一方、売りが先行する分野のリスクについても十分に認識しておくことが重要です。
本記事は、フィリピンの証券会社・ABキャピタル証券の20250806のレポート・ The Opening Bellから抜粋、要約し、筆者のコメントを加えたのです。
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