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2025年のメトロマニラ住宅市場動向と今後の展望 by Colliers

ニュース記事

2025年第2四半期、メトロマニラでは約1,400戸の新築コンドミニアムが引き渡されました。主な完成プロジェクトには、マカティCBDのパークセントラルタワーズサウスやザ・ジェントリー、オルティガスセンターのグランドミドリタワー1、BGCのシーズンズレジデンス-夏が挙げられます。今年下半期も含めると、7,100戸の新築ユニットが市場に供給され、その約71%が湾岸エリアに集中すると見込まれています。

しかし、その後の供給ペースは大きく減速する見通しです。2027年から2029年の年間平均新規供給戸数は約2,000戸にとどまり、2017年から2019年のピーク時の年間平均約13,000戸と比べ大幅に減少します。この供給減速の背景には、パンデミック期間中の新規開発抑制が大きく影響しています。

一方で、需要は明確な回復基調を示しています。前述のように、2025年上半期には7,100戸のプレビルドユニットが市場に出され、前年同期比で34%の増加となりますが、非常に強い購入意欲も同時に存在している状況となっています。

2025年第2四半期の実際の購入数(ネットテイクアップ)は2,900戸に増加し、前四半期の175戸から大幅に改善しています。また、購入をキャンセルする数(バックアウト)も前四半期の4,800戸から3,600戸へ25%減少しており、購入者の確度が高まっていることが示されました。デベロッパーは特に在庫の多いプロジェクトを対象に積極的なプロモーションや割引を展開し、販売促進に努めています。

これらの動向を総合すると、供給が急激に減少する一方で需要が着実に回復しているため、メトロマニラの住宅市場は価格上昇の局面に入ってきたと考えられます。低金利政策も追い風となっており、住宅ローンの利便性向上がさらなる需要拡大を後押ししています。2025年6月には中央銀行が政策金利を5.25%に引き下げ、年内にはさらに50ベーシスポイントの追加利下げを計画しているため、さらなる需要活性化が予想されます。

ただし、メトロマニラ全体の空室率は依然として高水準にあります。2025年第2四半期の空室率は24.5%に達し、特に湾岸エリアではポゴ(オンラインゲーム事業者)の撤退により54%と過去最高を記録しています。一方、マカティCBD、フォートボニファシオ(BGC)、オルティガスセンター、ロックウェルセンター、イーストウッドなどのマニラの人気エリアでは比較的低い空室率を維持しており、安定的な需要が確認されています。供給減速の効果により、この空室過多の状況も2026年以降は改善に向かう見込みです。

不動産投資家にとっては、湾岸エリアの過剰供給リスクを慎重に見極めつつ、主要業務地区(CBD)の安定した需要エリアに注目することが重要です。中央銀行の低金利政策を背景に、住宅ローン市場の活性化が進むため、これを好機と捉えた投資展開が予想されます。加えて、ディバロッパーの多様な販売戦略や支払条件の柔軟化を利用し、市場の変化に素早く対応しながらリスク分散を図った長期的ポートフォリオ形成が成功の鍵となるでしょう。

総じて、メトロマニラ住宅市場は供給減少と需要回復が同時進行し、価格上昇基調へ向かう局面に差し掛かってきたように見えます。環境変化を的確に捉えた戦略的投資が今後の収益拡大につながると考えられます。

本コラムは、世界的な不動産リサーチ企業であるコリアーズの最新レポート(Q 2  2 0 2 5  M E T R O M A N I L A  R E S I D E N T I A L  R E P O R T  07 AUGUST 2025)に基づいています。コリアーズは、市場の現状と将来動向を的確に捉えており、信頼性の高い情報を提供しています。

家村 均