フィリピンREIT規制改正:電力・通信資産の組み込みで市場が拡大
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フィリピン証券取引委員会(SEC)が11月18日に公表したREIT規制改正案は、2020年以来最も重要な見直しとなります。12月3日まで意見募集が行われ、年末までに最終規則が公表される見込みです。
今回の改正の最大のポイントは、REIT適格資産の範囲拡大です。従来のオフィスビル、ショッピングモールなどに加え、発電施設、通信インフラ、送電鉄塔、交通インフラなどが正式に対象として認められます。SEC議長は、これらの施設が民法上の不動産として定期的な収益を生み出すため、REIT適格資産に該当すると説明しています。
この拡大が投資家にとって魅力的なのは、利回りの向上が期待できるためです。電力や通信資産の平均利回りは7~9%に達し、従来のオフィスREITの6~6.5%を上回ります。資産利回りが1%上昇すれば、REITの1株当たり配当が3~6%改善する可能性があります。
既存のREIT銘柄では、アヤラランドREIT(AREIT)、ロビンソンズランドコマーシャルREIT(RCR)、メガワールドREIT(MREIT)が恩恵を受けると見られています。特にAREITはフィリピン初のREITとして強力な資産パイプラインを持ち、RCRは資産規模で最大、MREITは親会社の巨大なオフィススペースが強みです。
さらに、シティコアエナジーREIT(CREIT)など電力系REITが発電施設を組み込みやすくなり、通信会社も携帯電話基地局や通信鉄塔をREIT化する道が開かれます。改正案は再投資期間を1年から2年に延長し、運営面でも柔軟性を高めています。
総評:
今回のREIT規制改正は、インフラ資産の組み込みによる利回り向上で投資家に魅力的な選択肢を提供し、電力・通信企業には資金調達の新たな道を開きます。フィリピンREIT市場は東南アジアにおける競争力を一層高め、国際的な機関投資家からの注目度向上が期待されます。
本記事は、フィリピンの証券会社・ABキャピタル証券の20251121のレポート・ The Opening Bellから抜粋、要約し、筆者のコメントを加えたのです。
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