マニラ電力とアセアナ・シティが提携を強化、小売集約プログラムで電力供給の効率化を推進
ニュース記事
マニラ電力(Meralco)の小売電力供給部門であるMPowerは、上場デベロッパーのD.M. Wenceslao & Associates, Inc. (DMWAI)とのパートナーシップをさらに拡大し、同社がパラニャーケ市で開発するアセアナ・シティ内の商業スペースやオフィスに対する電力供給を開始する準備を進めていると発表しました。この新たな取り組みは、両社が長年にわたり築いてきた強固な協力関係の継続を示すものです。
この提携の核心にあるのは、DMWAIが、施設を政府の小売集約プログラム(Retail Aggregation Program、略称RAP)のもと、競争的小売電力市場(Competitive Retail Electricity Market、略称CREM)へ移行させるという点です。競争的小売電力市場(CREM)とは、一定規模以上の電力需要を持つ事業者が、従来の規制された電力供給者からではなく、複数の小売電気事業者の中から、価格やサービス、電源構成などを比較して、自由に電力供給者を選べるようにする制度です。フィリピンでは、現在は最低電力需要500キロワット以上の事業者がこの市場に参加できます。この制度により、大口需要家は電力コストの削減や、より信頼性の高いサービスを選ぶことが可能になっています。そして、今回の合意で活用されるのが小売集約プログラム(RAP)です。RAPとは、同一の電力フランチャイズエリア内にある複数の電力最終使用者が、その電力需要を合算し、一つのまとまった「競争的顧客(Contestable Customer)」として認定を受けることを可能にする制度です。施設内の各テナントや区画の需要を合計することで、CREMへの参加資格である最低500キロワットの需要を満たせるように設計されています。これにより、個々のテナントだけでは資格を満たせない場合でも、一括して市場に参加し、より競争力のある電力価格や条件の恩恵を受けられるようになります。これは、大規模な複合施設全体で電力調達の効率化を図る上で極めて効果的な仕組みです。
MPowerは、Meralcoのフランチャイズエリア内の大企業を含む競争的顧客にサービスを提供し、同エリア内の競争的小売電力市場において30%以上のシェアを占めています。今回のRAPを通じたアセアナ・シティの主要物件への供給開始は、MPowerが競争的な市場における主導的な地位を一層強固なものとし、不動産開発におけるエネルギーソリューションの進化を牽引していくことを示しています。
総評:
今回のMPowerとアセアナ・シティ間の提携拡大は、競争的小売電力市場(CREM)と小売集約プログラム(RAP)という二つの制度を最大限に活用し、エネルギー調達の最適化を実現する戦略的な動きです。需要の集約は、企業が電力コストを大幅に削減し、同時に持続可能で信頼性の高い電力供給を確保するための重要な手段となっています。この強固なパートナーシップは、フィリピンのエネルギー供給と不動産開発の分野において、効率性と信頼性を高めるモデルケースになることでしょう。
https://www.bworldonline.com/corporate/2025/12/04/716411/mpower-to-energize-aseana-city-properties/
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