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フィリピン通信業界の新たな飛躍:2026年の成長を牽引する非通信事業とデジタル変革

ニュース記事

2026年のフィリピンにおける上場通信および情報通信技術(ICT)セクターは、従来の音声通話やデータ通信の枠を超え、大きな成長の転換点を迎えています。フィリピン証券取引所に上場する主要企業は、光ファイバーによる高速通信への根強い需要に加え、デジタル金融やデータセンターといった「非通信事業」を新たな収益の柱として確立しつつあります。

市場アナリストの分析によれば、この成長の背景には、フィリピン国内におけるデジタル決済への構造的なシフトと、人工知能(AI)の普及に伴うデータ需要の爆発的な増加があります。

特に注目すべきは、デジタル金融分野の躍進です。大手通信各社が展開するモバイルウォレット、具体的には「GCash」や「Maya」が、国民の生活インフラとして完全に定着しました。2025年9月期のデータでは、PLDT傘下のMayaは預金残高が570億ペソに達し、累計融資額も1,870億ペソを記録するなど、銀行事業としての収益性を着実に高めています。一方、Globeが展開するGCashも、世界16市場で9,400万人以上の登録ユーザーを抱え、金融革命の旗振り役としてその基盤を拡大し続けています。

データセンター事業も、今後の成長を占う上で欠かせない要素です。フィリピン政府は、自国を地域内の「ハイパースケーラー・ハブ」と位置付ける戦略を推進しており、これに呼応するように、各社はデータセンターへの投資を加速させています。AI活用の進展やローカルデータの消費拡大が追い風となり、情報通信省(DICT)は2028年までに国内のデータセンター容量が1.5ギガワットに達すると予測しています。

2025年度の業績を振り返ると、大手PLDTやGlobeは営業費用の増加により一時的な減益を記録したものの、Converge ICT Solutionsのように純利益が前年同期比で約8.4%増加し、売上高も10%以上の成長を見せる企業も現れています。新興のDITO CMEも赤字幅を縮小させつつ、売上を25%以上伸ばすなど、市場全体に活気が戻っています。

また、規制面での変化も見逃せません。「Konektadong Pinoy Act(つながるフィリピン法)」の施行により、データ通信分野の自由化が進んでいます。これは既存の大手企業にとっては新たな競合の出現という挑戦を意味しますが、同時に業界全体のデジタル化を加速させ、卸売りビジネスなどの新たな機会を生む構造的な変化と捉えられています。実際に、すでに7社もの企業が新規参入に意欲を示しており、競争を通じたサービスの質の向上が期待されています。

このように、2026年のフィリピン通信業界は、単なるインフラ提供者から、金融、データ管理、AI基盤を網羅する総合デジタルプラットフォーマーへと進化を遂げる一年になると予測されます。

総評:

フィリピンの通信各社は、従来の通信事業が成熟期を迎える中で、デジタル金融やデータセンターといった高成長分野へ舵を切っています。特にAI需要を背景としたデータセンターの拡充は、フィリピンを東南アジアのデジタル拠点へと押し上げる強力な原動力となるでしょう。規制緩和による競争激化は避けられませんが、それは同時に業界全体のイノベーションを促し、中長期的な企業価値の向上につながるポジティブな変化であると評価できます。

本コラムは、下記ニュース記事の内容をベースに、筆者の見方、コメントなどを加えたものです。https://www.bworldonline.com/corporate/2026/01/05/722135/listed-telecommunication-firms-poised-for-growth/

家村 均