フィリピンの空から繋がる未来:GlobeとStarlinkの「ダイレクト・トゥ・セル」が変える通信の形
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フィリピンの通信大手グローブ・テレコム(Globe Telecom)が、イーロン・マスク氏率いるスペースX社の衛星通信サービス「スターリンク(Starlink)」と提携し、スマートフォンと衛星を直接接続する「ダイレクト・トゥ・セル(Direct-to-Cell)」技術をフィリピンに導入することを発表しました。この革新的なサービスは、東南アジアで初、アジア全体でも2番目の導入例となります。
この仕組みは、専用のアンテナや特殊なアプリケーションを必要とせず、既存の標準的なLTE対応スマートフォンでそのまま衛星通信を利用できる点です。これにより、これまで通信インフラの整備が困難だった離島や山岳地帯といった「地理的に孤立した未開発地域(GIDA)」においても、空が見える環境であれば通信が可能になります。現在、グローブ社はフィリピン国内の約97%をカバーしていますが、残りの3%に相当する未整備地域の人々にとって、この技術はデジタル格差を解消する決定打となります。2026年3月末までの商用化を目指しており、サービス開始当初はテキストメッセージ(SMS)から提供され、順次音声通話やデータ通信へと拡大される予定です。低軌道(LEO)に配置された650基以上の衛星群を活用することで、地上の基地局に依存しない安定したネットワークが構築されます。
この歴史的な提携の背景には、フィリピンにおける近年の法改正が大きく寄与しています。特に重要なのが、2022年に施行された改正公共サービス法(RA 11659)です。この「新通信法」とも言える法改正により、従来は40%に制限されていた電気通信事業への外資出資制限が事実上撤廃され、100%の外資による所有が可能となりました。この大胆な規制緩和が呼び水となり、スターリンクのような世界最先端の技術を持つ外国企業がフィリピン市場へ柔軟に参入し、地元企業と強固なパートナーシップを結べる環境が整ったのです。
マルコス大統領もこの調印式に立ち会い、デジタル格差の是正や災害時の通信確保における本技術の重要性を強調しました。台風などの自然災害が多いフィリピンにおいて、地上インフラが寸断されても機能する衛星通信は、緊急時の「命綱」としての役割も期待されています。今回のプロジェクトは、まさに法制度の近代化が技術革新を加速させ、国民に直接的な利益をもたらした好例と言えるでしょう。
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