LINE

LINE登録

サポート内容

サポート内容

無料相談

無料相談

TOP

TOP

フィリピン、デジタルハブへの飛躍:UAEとの提携が拓くデータセンターの新時代

ニュース記事

フィリピンのマルコス大統領は、アラブ首長国連邦(UAE)を拠点とするDAMACデジタル社との会談を終え、同国における大規模データセンター投資が今後劇的に加速するとの見通しを示しました。DAMACデジタルは、東南アジアで急速に拡大するデジタルインフラ市場への参入を狙っており、その中核としてフィリピンのラグナ州に国内最大級となるデータセンターを建設する計画を進めています。このプロジェクトは、単なるサーバーの設置にとどまらず、クラウドコンピューティングや人工知能(AI)といった次世代技術の基盤となることが期待されています。

マルコス大統領は、このセクターを国家の優先支援対象に位置づけると明言しました。DAMACデジタルが計画している施設は最大250メガワット(MW)という膨大な容量を誇り、実現すればフィリピンを地域内の有力なデータセンターハブへと押し上げる重要な試金石となります。政府は、デジタル決済や電子商取引、そしてAIの普及に伴い、データ処理の需要が爆発的に増加すると予測しており、高付加価値なテクノロジー産業への投資を誘致することで、経済のデジタル化と質の高い雇用の創出を同時に達成したい考えです。

今回の投資の背景には、フィリピンとUAEの間で署名された「包括的経済連携協定(CEPA)」があります。この貿易協定によって両国の経済協力は新たな段階に入り、DAMACのようなグローバル企業の参入を後押しする土壌が整いました。DAMACデジタルは2026年までに東南アジア全体で30億ドル以上の投資を計画しており、フィリピンはその戦略的要衝として位置づけられています。

ASEAN諸国とのデータセンター誘致競争において、フィリピンには明確な強みと弱みがあります。強みとしては、若くて英語に堪能なデジタルネイティブの労働力が豊富であること、そして政府が強力なリーダーシップで規制緩和やインセンティブ提供を推進している点が挙げられます。地理的にもアジアの主要都市を結ぶ中心に位置しており、国際海底ケーブルの陸揚げ地としてのポテンシャルも高いです。

一方で、最大の弱点はASEAN諸国の中でも極めて高い電気料金です。データセンターは莫大な電力を消費するため、コスト競争力において近隣の安価な電力を提供する国々に一歩譲る場面が見られます。また、電力供給の安定性や通信インフラのさらなる高速化といった物理的な課題も依然として残っています。これらの弱点を克服し、再生可能エネルギーの導入を加速させることが、シンガポールやマレーシアといった先行する近隣諸国に対抗する鍵となるでしょう。

総評

今回のUAEとの連携はフィリピンが「消費型」のデジタル市場から「生産・基盤提供型」のデジタル経済へと脱皮するための大きなチャンスです。高コストな電力という課題をいかに技術革新と政策支援で補えるかが、今後の成否を分けることになるでしょう。この大規模投資が呼び水となり、フィリピンが真のデジタルハブとしてASEANに君臨する日が来ることが期待されます。


本コラムは、下記ニュース記事の内容をベースに、筆者の見方、コメントなどを加えたものです。

https://www.bworldonline.com/corporate/2026/01/15/724280/marcos-expects-surge-in-large-scale-data-center-investments-after-uae-talks

家村 均