フィリピンのデジタル経済を加速させる中東の風:G42が拓くデータセンターの新機軸
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アブダビを拠点とするテクノロジー大手「Group 42 Holding Ltd.(G42)」が、フィリピンへの最大5億ドル(約296億ペソ)規模の投資を検討していることが明らかになりました。フィリピン情報通信技術省(DICT)によれば、この投資は今後3年から5年かけて実施される見通しであり、新たなデータセンターの建設がその中核となります。政府代表団のアブダビ訪問をきっかけに、フィリピンのデジタル市場への関心が急速に高まった形です。
現在、G42は国内での用地確保に向けた調査を進めており、特に大規模データセンターの運用に不可欠な電力と水の安定供給が今後の焦点となります。DICTは、フィリピンの地理的優位性と国際的な接続性の高さを強調しています。フィリピンには複数のルートから数多くの海底ケーブルが引き込まれており、世界的な通信網との連結において非常に有利な立場にあります。この優れた接続性は投資家にとって大きな魅力であり、フィリピンを東南アジアにおけるデジタルハブとして位置づける決定的な要因となっています。
さらに、国内のインフラ整備も着実に進展しています。南北を貫く国家ファイバーバックボーンの完成が近づき、ルソン・バイパス・インフラの整備により東西の接続も強化されました。こうした強固な基盤を背景に、フィリピンは将来的に人工知能(AI)サービスを輸出する拠点になるという野心的なビジョンを掲げています。AIコンピューティングを公共サービスのように国内施設から提供することで、フィリピンを高度な技術サービスの発信地へと変革しようとしています。
この動きは、マルコス政権が推進する経済外交の成果でもあります。マルコス大統領は先日UAEを訪問し、貿易協定の調印に立ち会うとともに、同じくUAEのDAMACデジタル社とも会談を行いました。同社もラグナ州で国内最大規模のプロジェクトを計画しており、中東企業によるデジタル分野への関心はかつてないほど高まっています。政府はデータセンター部門を優先支援対象に位置づけ、AIやデジタル決済の普及に伴う需要拡大を背景に、高付加価値なテクノロジー産業の誘致を強力に推進しています。
中東からの巨額投資は、フィリピンの産業構造を大きく塗り替える可能性を秘めています。G42のようなグローバル企業の参入は、現地の雇用創出だけでなく、国内の技術水準を一気に引き上げることが期待されます。電力や水のリソース確保といった物理的な課題は残されていますが、政府の強力な後押しと国際連携により、フィリピンのデジタル経済は今、新たな飛躍の時を迎えています。
総評:
UAEの大手テック企業による巨額投資は、フィリピンが東南アジアのデジタル拠点として真の競争力を備えつつあることを証明しています。インフラ整備や政府の優遇措置が功を奏し、地理的優位性を活かした「AI輸出拠点」という未来像は非常に現実味を帯びてきました。電力確保などの課題を克服できれば、フィリピンの経済成長はデジタル分野でさらなる飛躍を遂げるでしょう。
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