市場の逆風を跳ね返す不動産デベ・PH1ワールドの躍進と次なる挑戦
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フィリピンの大手建設・インフラ企業メガワイド・コンストラクションの不動産部門であるPH1ワールド・デベロッパーズが、2025年度において目覚ましい業績を達成しました。同社が発表した実績によると、年間の成約販売額は約52億5,000万ペソに達し、当初掲げていた目標値である41億6,000万ペソを大幅に上回る結果となりました。不動産市場全体が回復の途上にあり、依然として軟調な兆しを見せる中で、同社が示したこの成長は業界内でも大きな注目を集めています。
この好調な業績を牽引したのは、主にカビテ州で展開されているLykke KondoやOne Lancaster Parkといった主要プロジェクトです。特にカビテ州における住宅需要は根強く、Lykke Kondoは約10億ペソ、One Lancaster Parkは約20億ペソの予約販売を記録しました。2025年9月末時点での未計上収益は約101億6,000万ペソにのぼり、さらに2020億ペソを超える在庫を保有していることから、今後数年間にわたる収益の柱は着実に築かれていると言えます。
こうした成長の背景には、PH1が掲げる革新的な設計コンセプトがあります。その象徴とも言えるのが、ケソン市などの都市部で展開されるMyEnso Loftプロジェクトです。このプロジェクトの最大の特徴は、独自の「Add-Loft(アド・ロフト)」技術にあります。これは、一般的な住宅ユニットにロフトスペースを後付けすることで、居住者が追加費用を抑えつつ居住空間を最大限に活用できるようにする画期的な仕組みです。都市部の限られたスペースにおいて「ゆとり」を創出するこの試みは、効率性を重視する現代の居住者から高い支持を得ており、同社のブランド価値を高める重要な要素となっています。
PH1ワールド・デベロッパーズのジジ・G・アルカンタラ社長は、2026年度の販売目標を80億ペソに設定したことを明らかにしました。前年度の勢いを維持しつつ、さらに高いハードルを課す姿勢ですが、戦略自体は非常に堅実です。現在は市場環境が完全に好転するのを待っている段階であり、新規の大型プロジェクトを乱発するのではなく、マイエンソロフトのような既存プロジェクトの次期フェーズや追加棟の建設・販売に注力する方針を掲げています。
一方で、親会社のメガワイドが検討しているPH1の新規株式公開(IPO)については、依然として慎重な姿勢を保持しています。市場のコンディションを見極め、適切な評価額が得られるタイミングを待っている状態ですが、これは自社の資産価値と将来性に強い自信を持っていることの表れとも取れるでしょう。
総評
PH1は「マイエンソロフト」に見られる独創的な空間提案と、需要の確かなエリアへのリソース集中により、盤石な経営基盤を証明しました。2026年の高い目標達成に向けては、マクロ経済の動向が鍵となりますが、独自の技術力を武器にした差別化戦略は今後も大きな強みとなるはずです。親会社との相乗効果を活かし、同社がフィリピン不動産市場でどのようなプレゼンスを確立していくのか、その進化から目が離せません。
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