フィリピン発フィンテックの雄・Maya、米比二重上場で世界へ踏み出す
ニュース記事
フィリピンの大手フィンテック企業Mayaが、2026年下半期を目標に米国とフィリピンの証券取引所への同時上場(デュアルリスティング)を計画していることが明らかになりました。同社の会長を務めるマヌエル・V・パンヒリナン氏が報道陣に対して明らかにしたもので、まず米国での株式公開(IPO)を実施し、その後フィリピン証券取引所(PSE)にも上場するという段階的な方針を示しました。
米国上場の背景には外国株主の意向があります。パンヒリナン会長は「外国株主が求めているのは米国市場での上場だ。フィンテックビジネスにとって、大規模な資金調達に適したより深みのある市場だからだ」と説明しています。一方で同氏は、フィリピン国民が自国のフィンテック企業に投資できる機会を確保することへの強いこだわりも示しており、「デュアルリスティングを強く主張している」と述べています。ブルームバーグの報道によれば、米国でのIPOによる調達規模は5億ドルから最大10億ドルに達する可能性があるとされています。
今回のIPOは新株発行による資金調達が中心となる見通しです。既存株主が保有株を売り出す形ではなく、新たな資本をMayaに直接注入することが目的です。PLDTとファースト・パシフィックが合計で約39.6%の株式を保有していますが、パンヒリナン会長は持ち分を維持するため、新規発行株の優先引受権を行使する意向を明言しました。引き受け手のつかない未消化分についても、自ら購入する準備があると述べています。
Mayaの財務実績もIPOへの追い風となっています。同社は2025年に黒字転換を達成し、同年の最初の9か月間で16億ペソの利益を計上しました。傘下のMaya Bankは2025年9月時点でローン残高が前年比59%増の270億ペソに達し、預金残高も44%増の567億ペソへと急拡大しています。純利息マージンも13.9%から18.9%へと大幅に改善しており、投資家に対して成長性と収益性の両面を示せる状況が整いつつあります。
なお、ライバルのGCash(Mynt)もIPOを検討していますが、フィリピン国内での上場は2026年下半期以降に延期されたとされており、Mayaが先行してグローバルな資本市場に打って出る形となります。
【総評】
MayaのデュアルリスティングIPO計画は、フィリピン発のフィンテック企業が初めて本格的にグローバル資本市場へ打って出る歴史的な試みであり、東南アジアのデジタル金融の成熟を象徴する出来事です。米国上場による潤沢な資金調達が実現すれば、事業拡大や競争力強化に直結するとともに、フィリピン国内市場への同時上場はフィリピン市民への還元という意義も持ちます。今後は米国市場での評価額をどう引き出すかが最大の焦点となり、その成否がフィリピンのテック企業全体の海外上場機運にも大きな影響を与えるでしょう。
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