フィリピンのソブリンウェルスファンド(国営ファンド)いよいよ始動
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マルコス大統領は、経済学者らが資金調達と運営に関して懸念を表明していた、ソブリンウェルスファンドを創設する法案に署名しました。この法案は、フィリピンの経済成長とインフラストラクチャーの整備を促進することを目指すマハーリカ投資基金(MIF)法(共和国法第11954号)です。
マルコス大統領は、マラカニアン宮殿での署名式で、このファンドにより、政府の財政的な余地が拡大し、公共インフラプロジェクトの資金調達の圧力が軽減されると述べました。
このP5000億(約91億ドル)の基金を通じて、政府は国家経済開発庁(NEDA)の承認を受けた194のフラッグシッププロジェクトの実施を加速することができるとしています。
マルコス大統領と彼の経済担当者は、マハーリカ投資基金を外国の訪問中に積極的に宣伝しており、その中には1月にスイスのダボスで開催された世界経済フォーラムや、日本、米国も含まれています。
マラカニアン宮殿は、新たに署名された法律の文書をまだ公開していませんが、大統領広報局が発表した情報に基づくと、同基金はP5000億相当の優先株式と普通株式を発行し、政府(NG)、国営企業、金融機関が出資できるようになるとのことです。
初期資金のP1250億は、フィリピン娯楽事業公社(PAGCOR)やその他の政府所有のゲーム事業者や規制機関からの収入、民営化収益、政府資産の譲渡などから調達されます。
一方で、一部の専門家からは、ガバナンスに関連する問題や、議会が予算の権限を放棄してしまうことについての指摘もあります。
また、マハーリカ基金に中央銀行が全額の配当を提供することが求められるため、中央銀行の資本増強により多くの時間を要することになります。現在の世界経済の不確実性と変動性の時代において、通貨当局はむしろ強化されるべきとの意見もあります。
マハーリカ基金に使用される公的資金を補充するために、政府は税金を増やすか、国内外で資金を借り入れるか、または両方を行わなければならなくなる可能性も指摘されていま。
さらには、MIFが医療、住宅、教育などの社会サービスに使用可能な公的資金を減少させる可能性があるとの懸念も一部の専門家から指摘されています。
NEDA長官は、政府はMIFを活用して、エネルギー部門などの戦略的な領域はじめ資本が非常に必要な領域はたくさんあるとしています。
マハーリカ基金は、フィリピンが上中所得国カテゴリーに昇格して、公的開発援助などの優遇融資を受ける資格がなくなる場合に、債務調達の代替手段としても機能するともNEDA長官は述べています。
フィリピンは世界銀行の設定しているカテゴリーで、現在低中所得経済国に分類されていますが、政府は2025年までに上中所得国への昇進を目指しています。
マルコス大統領は、マハーリカ投資会社(MIC)が、政治化されないようにすることを強調し、基金の決定は政治的なものではなく、財務的なものでなければならなず、それが基金の本質で、基金が利益を上げられない場合、基金は失敗する。シンプルなことだと述べています。
マラカニアン宮殿の文書によると、MICは財務大臣を含む9人のメンバーで構成される取締役会を持つ予定ですが、大統領や財務大臣が意思決定のループに入れると、その決定は政治的な考慮によって色づけされるとし、マルコス大統領は演説で、財務大臣だけでなく大統領もMICの取締役会のメンバーに含めるべきでないと述べています。
ディオクノ財務大臣は、財務大臣がMIFを運営することはなく、非政治家である9人のメンバーからなるマハーリカ投資会社の独立した取締役会が基金を運営するとしています。
MICは、予算管理局、NEDA、財務省による投資とリスク管理のための諮問機関を設置する予定です。
MICは国際的に認められた透明性の基準に従うよう求められ、厳格な財務報告と監査システムを採用し、監査委員会、内部監査人、外部監査人、および監査機関による厳格な審査と監査を受けることになります。
また、MIC法は、さまざまな違反行為に対してP100万からP1500万の罰金と、6年から20年の懲役刑を規定しています。
署名式の後、この法律の実施規則(IRR)は年内に完成する見込みで、マハーリカ投資会社(MIC)は、2024年末までに完全に稼働する予定です。
本記事は、下記ニュースを要約したものです。
https://www.bworldonline.com/top-stories/2023/07/19/534746/marcos-signs-maharlika-bill-into-law/
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