インタビュー記事：フィリピンの国営ファンドにインタビューしてみた　Part 1

インタビュー記事

2023.08.4

はじめに

今回は、フィリピンの国営ファンドNational Development Company (NDC)を訪問して、国営ファンドがどんなところに投資をしているのかなど、インタビューを通して実態に迫ってみました。

２回に分けて、インタビュー内容をご紹介します。

自己紹介お願いします。

メジアと申します。NDCのAssitant General Managerで、ここで過去23年間勤務しています。特別プロジェクトを担当していて、主に民間企業との合弁プロジェクトを担当しています。

1979年にアテネオ・デ・マニラで学び、1990年に埼玉大学で政策科学の修士号を取得しました。1999年からNDCで働いています。

私が最初に働いたのは1986年で、当時はまだ首相府が存在していました。1986年には今のマルコス大統領の父が大統領で、その後コリンダ・アキノ大統領が引き継ぎました。

国営ファンドNational Development Company (NDC)について教えてください。

さて、私の会社を紹介させてください。国家開発会社と呼ばれる非常に古い政府所有の公社で、1919年に設立されました。設立当初は半分が民間でしたが、後に100％政府所有の企業となりました。NDCは商業、工業、農業、鉱業など、あらゆる分野のプロジェクトを実施することができる広範な権限を持っています。

NDCの主な機能として、投資、融資の提供、または民間企業との合弁事業の形成が挙げられます。これらの機能は、大統領令第1614号に基づいています。また、NDCは国内外の土地や鉱物地域を所有することもでき、鉱業事業や鉱物の開発・利用も行います。さらに、NDCは債権の買収や担保の設定、債券の発行なども行うこともできます。

さらに、NDCはマーケットから資金を調達するために債券を発行したり、国内外の融資に対する保証を提供したりすることも可能です。また、マレーシア、インドネシア、タイなどアジア諸国におけるプロジェクトにも投資し、子会社を組織して事業を展開しています。

NDCは独自の組織体制を追求し、役員の給与レンジを決定することもできます。これは産業界や労働市場から優秀な人材を引き寄せるための方策です。また、政府系金融機関からの保証を受けたり、子会社に対して融資を提供したりすることもできます。

NDCの組織形態について教えてください？

NDCの理事会は非常に強力で、貿易産業省の長官が議長を務め、財務省、エネルギー省、予算環境省の各省の代表や中央銀行総裁、フィリピン開発銀行の会長などが参加しています。

具体的にどのような案件に投資しているのですか？

過去104年間にNDCは117社に投資しており、主に民間企業との合弁プロジェクトが多いです。セメント会社、砂糖精製会社、住宅事業、電力会社、テキスタイル、衛星通信など、多様な産業に投資しています。一部のプロジェクトは民営化されましたが、NDCは引き続き新しいパイオニアプロジェクトを始動させています。

これまでのNDCの投資総額は約80億ペソで、約5万8000人の雇用機会を生み出しています。再生可能エネルギー分野と工業団地が特に多くの雇用を生んでいます。

まとめ

国家開発会社（NDC）は1919年に設立された政府所有の公社で、商業、工業、農業、鉱業など様々な分野のプロジェクトに関与しています。合弁プロジェクトを通じて民間企業と協力し、多くの投資と事業を行っています。

NDCは広範な権限を持ち、土地所有、鉱物の開発、融資、債券発行、海外プロジェクトへの投資などを行っています。

これまで117社に投資し、約80億ペソの投資額と約5万8000人の雇用を生み出しています。再生可能エネルギーと工業団地の分野で特に活躍しています。

YouTube動画

このインタビュー内容を動画でご視聴されたい方は、以下のYoutubeでご覧ください。https://www.youtube.com/watch?v=W_Uun4zrDMw&t=61s

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家村均

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング　エグゼクティブディレクター

慶応義塾大学経済学部卒業後、東急電鉄に入社し、海外事業部にて、米国・豪州・ニュージーランド・東南アジアなどで不動産開発や事業再構築業務に従事。また、経営企画部門にて東急グループの流通・メデイア部門の子会社・関連会社の経営・財務管理を実施した。（約15年）
その後は、コンサルティングファーム（アクセンチュア・ユニシス）や投資ファンド（三菱UFJキャピタル）などで、企業や自治体の事業再構築、事業民営化等の支援や国内外のM&A案件のアドバイザリーを実施。現在、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングにて、日本他の投資家および企業、ファンドなどに対してフィリピン不動産の販売やフィリピンへの事業進出のアドバイスを行っている。

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