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2025年フィリピンIT-BPM産業の動向予測

ニュース記事

フィリピンのIT-BPM(情報技術およびビジネスプロセス管理)産業は、2024年に前年比7%の成長を記録し、収益は380億米ドル、雇用者数は182万人に達しました。この成長率は前年と比べて若干鈍化したものの、世界平均の成長率である2~3%を大きく上回る結果となりました。2025年から2027年にかけては、収益の年平均成長率が7~9%、雇用者数の成長率が6%に達すると予測されています。

フィリピンがアウトソーシング先として選ばれる主な理由は、その優れたコスト競争力にあります。フィリピンの労働力は、米国企業にとって約94%のコスト削減を可能にし、さらにアジア地域で最も安価なオフィス賃料を提供しています。また、電力コストの削減の可能性もあり、運営コスト全体を抑える上での大きな利点となっています。これらの要因により、フィリピンは引き続きアウトソーシングの重要な拠点として注目されています。

さらに、2023年に「CREATE MORE法」が可決されたことで、付加価値税の免除やゼロ税率の適用、在宅勤務制度の明確化など、投資環境が整備されました。この政策変更は、新規投資の促進に貢献すると考えられています。過去を振り返ると、2017年から2020年の間、トランプ政権による保護主義的政策やフィリピン国内で実施された税制改革(TRAIN法)が原因で、IT-BPM産業の成長が一時的に停滞したことがありました。しかし現在では、政策の安定性が確保され、業界の成長を後押しする基盤が整いるとみられています。

一方で、今後のリスクとして挙げられるのが、トランプ政権の復活による保護主義的な政策の再来です。しかし、フィリピンのIT-BPM産業にとってより大きな課題となり得るのは、生成AIの急速な普及と、それに伴う業務の自動化の進展です。大手BPO会社・Everest Groupによると、多くの企業が生成AIを優先事項として取り組んでおり、同時に既存の労働力のスキル向上にも力を入れています。このような技術革新の波に、フィリピンのIT-BPM産業がどのように対応していくかが、今後の成長の鍵となるでしょう。

フィリピンのIT-BPM産業は、引き続き安定した成長を遂げており、世界的な競争力を維持しています。しかし、新技術への適応や外部環境の変化への対応が求められる中、持続的な発展のためのさらなる努力が必要とされています。

この記事は20250103 Opening Bell by AB Capitalから抜粋、要約したものです。

家村 均