フィリピン中間選挙 マルコス vs ドゥテルテ
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フィリピンの中間選挙は、マルコス大統領とドゥテルテ副大統領に対する国民の評価と、2028年の大統領選挙の前哨戦として注目されています。開票作業はまだ続いていますが、初期の傾向として、野党の勢力回復と無所属候補の躍進が見られ、政治情勢に変化の兆しが見られます。
上院選挙では、ドゥテルテ派の候補者が5議席(42%)、マルコス派の候補者が6議席(50%)を獲得する見込みです。下院選挙では、マルコス大統領の所属政党であるラカスCMD党が引き続き優勢を維持する見通しです。
特に注目されるのは、上院の構成がドゥテルテ副大統領に対する弾劾裁判の行方と、マルコス政権の立法課題の進捗に大きく影響を与えることです。
主要な結果として、国際刑事裁判所(ICC)に拘束されているドゥテルテ前大統領が、自身の地元であるダバオ市の市長選で当選する見込みです。彼の息子たちもまた、地元の役職を確保しました。一方、レニ・ロブレド前副大統領は、ナガ市の市長選で勝利し、政界への復帰を果たす見込みです。
これらの結果は、フィリピン政治において、有名人やメディア関係者の政治家、そして確立された政治的王朝が依然として重要な役割を果たしていることを示しています。しかし、同時に、新たな政治家が著しい進歩を遂げていることも注目に値します。
ドゥテルテ前大統領のダバオ市での勝利は、彼の政治的影響力が依然として強いことを示しています。また、ロブレド前副大統領のナガ市での勝利は、野党勢力の回復と、彼女自身の政治的基盤の強さを示しています。
上院選挙におけるマルコス派とドゥテルテ派の拮抗は、今後の政治情勢に不確実性をもたらす可能性があります。特に、ドゥテルテ副大統領に対する弾劾裁判は、両派の対立を激化させ、政治的混乱を引き起こす可能性があります。
下院におけるラカスCMD党の優勢は、マルコス政権の政策遂行を支える一方で、野党の反発を招く可能性もあります。今後の政治情勢は、上院の構成と弾劾裁判の行方によって大きく左右されるでしょう。
総評
今回の中間選挙は、フィリピンの政治情勢に変化の兆しをもたらしました。ドゥテルテ派とマルコス派の対立、野党勢力の回復、そして新たな政治家の台頭は、今後の政治動向に大きな影響を与えるでしょう。特に、上院の構成と弾劾裁判の行方は、今後の政治情勢を占う上で重要な要素となります。
本記事は、フィリピンの証券会社・ABキャピタル証券の20250513のレポート・ The Opening Bellから抜粋、要約したものです。
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