2025年後半、フィリピン株投資戦略 by AB Capital
ニュース記事
2025年後半のフィリピン株式市場は、いくつかの興味深い投資戦略が注目されています。まず、「回復と評価再編の遅れ」の取引は、経済が回復しているにもかかわらず、フィリピン証券取引所指数(PSEi)が過去平均と比較して大幅な割引価格で取引されている現状に焦点を当てています。現在のPER(株価収益率)が約9~10倍であるのに対し、過去10年間の平均は15倍であったことを考えると、市場は多くの政治的リスクや世界的な逆風を織り込んでいると推測されます。財政、政治、金利に関する明確さが向上すれば、この割引価格が是正され、価値向上が期待できるという見方です。この戦略を実践するには、BDO、BPI、MBTといった銀行株、GTCAPやACのようなインフラ関連の複合企業、そして景気循環に敏感なバリュー株が有望視されています。
次に、「配当利回り+為替ヘッジ戦略」が挙げられます。フィリピンペソが上昇し、金利が下がる可能性があることを考えると、高い配当利回りの銘柄は魅力的です。特に、MER、TEL、MWC、DMCなどの企業は、新興市場に回帰する外国人投資家にとって魅力的な選択肢となるでしょう。この戦略は、米ドルがさらに下落し、米国の金利が正常化する場合には、自然なヘッジとしても機能します。
三つ目の戦略は、「中型株へのローテーション+外国人投資家の再参入」です。最近の月間データでは、外国人投資家の資金流入がプラスに転じており、市場のセンチメント改善を示唆しています。この動きは、2023年から2024年にかけて流動性の低さから見過ごされてきた中型株へのローテーションを促す可能性があります。具体的には、CNVRG、CNPF、URC、MWC、MONDEなどが注目されており、特にMONDEは最近の売却後、投資機会を提供すると考えられています。
最後に、「インフラ整備の追い上げ取引」が注目されています。中間選挙が終了したことで、「Build Better More」プログラムの下での官民連携プロジェクトやインフラ整備が改めて重視される可能性があります。この分野の主要な受益者としては、AC、AEV、SMC、そしてMPIへの出資を通じてGTCAPが挙げられます。これらの企業は、政府のインフラ投資拡大から直接的な恩恵を受けると期待されています。これらの戦略は、フィリピン経済の回復基調と、それに伴う市場の評価調整、そして外部環境の変化を巧みに捉えようとするものです。
総評
2025年後半のフィリピン市場は、割安なバリュエーション、外国人投資家の回帰、そしてインフラ投資の加速を背景に、多様な投資機会を提供すると見られています。特に、マクロ経済の明確化と企業収益の改善が、市場全体の評価再編を促す鍵となるでしょう。投資家は、個々の企業の実力と市場のトレンドを慎重に見極める必要があります。
本記事は、フィリピンの証券会社・ABキャピタル証券の20250527のレポート・ The Opening Bellから抜粋、要約したものです。
- DMCIのバギオのホテルコンド売上好調 - 05/31/2025
- アヤラ財閥のACENが洋上風力発電へ進出 - 05/31/2025
- フィリピンペソ高は、内需主導のフィリピン経済に追い風 - 05/29/2025