アヤラ財閥のACENが洋上風力発電へ進出
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アヤラグループ傘下のACENは、デンマークのコペンハーゲン・インフラストラクチャー・パートナーズ(CIP)がカマリネス・スル州で開発中の1,000メガワット(MW)規模の洋上風力発電プロジェクトに、25%の少数株主として出資することで合意しました。ACENは、CIPのグロース・マーケッツ・ファンドIIと最終契約を締結しており、今後は規制当局の承認を経て出資が実行される予定です。
CIPは、現地法人であるCopenhagen Infrastructure New Markets Fund Philippines Corp.を通じて、2023年にフィリピンのエネルギー省(DoE)から、100%外資として初めて風力発電の認可を受けた企業です。今回の出資対象である「サンミゲル湾洋上風力発電プロジェクト」は、総投資額が30億ドルにのぼり、CIPのフィリピン国内でのポートフォリオの中核を成しています。その他にも、同社は北サマール州で650MW、パンガシナン州ダグパンで350MWのプロジェクトを計画しており、総額50億ドル規模の投資を見込んでいます。
サンミゲル湾のプロジェクトは2023年に「国家的重要エネルギープロジェクト」として認定され、投資促進庁(BOI)から「グリーンレーン」ステータスを取得しており、各種許認可手続きの迅速化が図られています。
CIPは、「ACENはフィリピンで最も経験豊富な再生可能エネルギー開発企業の一つであり、CIPの洋上風力分野の専門知識と、ACENの国内外での実績および利害関係者との調整能力により、同プロジェクトは成功の土台が築かれる」と述べました。プロジェクトは、2028年までにフィリピン初の洋上風力による電力供給を実現するという政府目標を支援するものです。
世界銀行が2022年に発表した「フィリピンの洋上風力ロードマップ」によれば、同国の洋上風力の潜在能力は178ギガワット(GW)を超えると見積もられており、DoEはCIPを含む多くの開発業者の計画(総容量16GW以上)を支援しています。ACENは、この提携により、地域における洋上風力開発のベンチマークを確立し、大規模なクリーンエネルギープロジェクトの可能性をさらに広げることができると期待しています。
CIPのグローバルなリーダーシップと、ACENの地元での信頼性および実行力が融合することで、非常に複雑なプロジェクトでも着実な実行が可能になると評価されています。両社のスポンサーシップは、大規模な銀行団の融資引き受けを引き寄せる力があります。
ACENは、今回の投資により、運用中・建設中・確定済みを含む7GWの再生可能エネルギーのポートフォリオを拡充することになり、2030年までに20GWへの拡大を目指しています。
総評:
ACENとCIPの提携は、フィリピンにおける洋上風力発電開発の大きな転機となる可能性があります。国際的な技術力と国内の実績を融合させたモデルケースとして、今後の再生可能エネルギー市場に与える影響は大きいでしょう。フィリピンのエネルギー安全保障と脱炭素化に向けた前進が期待されます。
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