最新:フィリピン不動産市況 by Colliers
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2025年第1四半期のフィリピン経済(GDP)は前年同期比5.4%の成長を記録しましたが、これは政府および民間エコノミストの予測を下回る結果となりました。政府の経済計画当局によると、年間成長目標である6〜7%の下限を達成するには、今後3四半期で平均6.2%の成長が必要です。それにもかかわらず、経済全体の拡大基調は持続しており、フィリピンは東南アジアの中で最も明るい経済見通しを持つ国の一つと評価されています。
2024年には消費支出の伸びが鈍化しましたが、物価上昇率の抑制と政策金利の引き下げが、家計主導のフィリピン経済にプラスに働くと見られています。特に2025年には選挙支出に伴う直接・間接の景気刺激効果もあり、個人消費や民間投資に好影響を与える可能性があります。
不動産市場では、メトロマニラのオフィス賃貸市場が依然として厳しい状況にありますが、プリリース(契約前予約)は回復し始めています。住宅市場では、金利の低下が住宅購入意欲を高めるとされ、特にメトロマニラ以外の地方都市における戸建住宅の需要が堅調に推移しています。各ディベロッパーは、引き続き魅力的な支払い条件を提供しています。
フィリピン中央銀行(BSP)は、2025年4月に政策金利を25ベーシスポイント引き下げて5.5%とし、インフレが緩やかになっていることを背景に、さらなる50ベーシスポイントの利下げが予想されています。インフレ率は2024年5月時点で1.3%と、過去5年で最低水準を記録しました。これにより金利がさらに低下し、消費者支出の拡大が後押しされると見込まれています。
住宅市場においては、特にセブ、バコロド、イロイロ、ダバオ、パンパンガ、ブラカン、カビテ、ラグナといった主要地方都市での販売が好調です。一方、メトロマニラのコンドミニアム市場では課題が残っていますが、即入居可能なユニット(RFO)を対象としたプロモーションが奏功し、長期賃貸や販売用ユニットの需要が持ち直しています。最近の調査では、コンドミニアムへの関心が再び高まっている兆候が見られ、デベロッパーによる多様なプロモーションが成果を上げていると考えられます。首都圏での新規開発物件は抑制されている一方、地方都市では新規住宅開発が活発です。
小売セクターにおいては、回復が予想を上回る速さで進んでいます。新たな外資系ブランドの参入や既存ブランドの拡大により、商業施設の稼働状況はコロナ以前の水準に戻りつつあります。メトロマニラでは空室率が低下し、特に人気の商業エリアで賃料水準の回復が見られます。コリアーズの予測によれば、2026年末までにモールの空室率はパンデミック前の水準に回復すると見られており、これはフィリピン人の実店舗での購買意欲の高まりを示すものです。
さらに、2025年以降も多くの新たなモール開業が予定されており、それらはメトロマニラ以外の成長都市にも展開されます。これは外資系ブランドが地方都市に注目している証左でもあります。
総評:
フィリピン経済は下振れリスクを抱えつつも、物価安定や政策支援により中長期的には回復が見込まれます。住宅や小売などの不動産分野では、首都圏と地方のニーズの差異に対応した戦略が成果を上げています。全体として、消費と投資の両面からの刺激策が、経済の持続的成長を後押しすると期待されています。
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