AREIT 195億ペソの資産交換を通じた拡大：配当増加への期待
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不動産投資信託（REIT）AREITは、スポンサーのAyala Land, Inc. (ALI) およびSummerhill Commercial Venturesとの間で、6回目となる不動産と株式の交換（資産スワップ）を承認しました。この取引は、AREITのポートフォリオを大幅に拡大し、不動産ミックスを改善することを目的としています。
具体的には、AREITはAyala Center CebuとAyala Malls Felizの2つのモールを、合計195億ペソの評価額で取得します。これに対し、AREITは4億4113万株の普通株を交換として発行します。この取得により、AREITの運用資産総額（AUM）は、約150億ペソまで増加する見込みです。
この取引は、AREITのポートフォリオ構成を大きく変化させます。取得する2つのモールは、総賃貸可能面積（GLA）を375,000平方メートル増加させ、その結果、GLAに占める小売セクターの割合を54%にまで引き上げます。
ABキャピタルの試算によりますと、この資産スワップが通年で完全に寄与した場合、一株当たり配当金（DPS）は0.10ペソから0.21ペソの上昇が見込まれます。これにより、現在のAREITの株価水準（5.3%の利回り）に基づくと、配当利回りが5.8%にまで向上する可能性があります。これは、投資家にとって魅力的な材料となります。
今後の重要なマイルストーンとしては、2025年12月11日に予定されている特別株主総会での承認、規制当局からの必要な認可、そして実際の資産組み入れの完了（2026年下半期）が挙げられます。この資産交換取引は、REITセクター全体の再評価の可能性を後押しするものとして重要です。スポンサーからの継続的な資産注入の勢いを裏付けるものであるため、AREITに対する「アウトパフォーム」のレーティングを維持します。この動きは、フィリピンのREIT市場における成長と、スポンサー企業による強力なサポートを示すものと言えます。
総評：AREITによる195億ペソ規模の資産スワップは、ポートフォリオの規模と質を向上させ、小売セクターの割合を高める戦略的な動きです。この取引は、DPSの上昇を通じて配当利回りを改善し、既存株主にとってポジティブな影響をもたらすと評価されます。資産注入の継続的な勢いは、AREITとフィリピンREIT市場全体の今後の成長にとって、前向きなシグナルとなります。
本記事は、フィリピンの証券会社・ABキャピタル証券の20251004のレポート・ The Opening Bellから抜粋、要約し、筆者のコメントを加えたのです。
慶応義塾大学経済学部卒業後、東急電鉄に入社し、海外事業部にて、米国・豪州・ニュージーランド・東南アジアなどで不動産開発や事業再構築業務に従事。また、経営企画部門にて東急グループの流通・メデイア部門の子会社・関連会社の経営・財務管理を実施した。（約15年）
その後は、コンサルティングファーム（アクセンチュア・ユニシス）や投資ファンド（三菱UFJキャピタル）などで、企業や自治体の事業再構築、事業民営化等の支援や国内外のM&A案件のアドバイザリーを実施。現在、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングにて、日本他の投資家および企業、ファンドなどに対してフィリピン不動産の販売やフィリピンへの事業進出のアドバイスを行っている。
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