経済成長の鈍化を受け、マルコス大統領が第4四半期の政府支出拡大を公約
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フィリピンのマルコス大統領は、2025年11月13日に、第3四半期の経済成長が予想を下回ったことを受け、第4四半期に政府支出を強化すると公約しました。大統領は、年末までに当初の計画に沿った支出水準を達成し、第3四半期に失われた分を回復するため、公共支出を増やすための多くの措置を講じたと述べています。
第3四半期のフィリピンの国内総生産(GDP)成長率は、第2四半期の5.5%、前年同期の5.2%の拡大から、4%へと4年ぶりの低水準に鈍化しました。この急激な経済減速の主な原因として、公共事業プロジェクトを巡る汚職スキャンダルが挙げられており、これが政府支出を抑制し、消費者および投資家の信頼を冷え込ませたとされています。現在、政府は公務員が民間業者と共謀してコストを水増しし、架空のインフラを承認したとされる数十億ペソ規模の汚職スキャンダルを調査中です。
この状況に対応するため、予算管理省(DBM)は、経済成長を押し上げる目的で、10月から12月にかけて1.31兆ペソ(約3.5兆円)を支出する計画を立てています。
今年の最初の9ヶ月間のGDP成長率は平均5%であり、前年同期の5.9%を下回っており、政府が目標とする通年目標の5.5%から6.5%の範囲を下回る結果となっています。
マルコス大統領は、景気の減速は汚職問題だけでなく、一連の台風による休業日の発生、そして世界経済に影響を与えている貿易の不確実性も一因であると説明しました。特に、米国が8月7日以降、フィリピンを含む複数の国からの多くの製品に対して19%の関税を課していることなど、新たな貿易構造によるショックに適応している段階であると説明しています。
なお、この汚職スキャンダルはフィリピンの投資家心理にも影響を与えており、株式市場やフィリピン・ペソに重しとなっています。フィリピン・ペソは11/12に1米ドルあたり59.17ペソという史上最安値を記録しました。
総評:
本記事は、フィリピン政府が経済の減速に対し、財政出動を加速させるという強い意志を示していることを伝えています。汚職スキャンダルや自然災害、国際貿易摩擦など、複数の複合的な要因が成長の足かせとなっている現状が浮き彫りになりました。政府が掲げる第4四半期の巨額の支出計画が、目標とする通年成長率の達成と、冷え込んだ国民・投資家心理の回復につながるかどうかが注目されます。
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