ジョリビー、国際部門を分離し米国上場へ:グローバル展開の新たな加速
ニュース記事
フィリピンを代表する外食大手、ジョリビー・フーズ(Jollibee Foods Corp.)が、戦略的な大きな転換点を迎えようとしています。同社は2027年後半を目処に、フィリピン国外のすべての事業を統合した新会社「ジョリビー・フーズ・コーポレーション・インターナショナル」を設立し、米国市場に上場させる計画を明らかにしました。この大胆な再編により、同社は長年培ってきた国内事業と、急速に拡大する国際事業を明確に分離することになります。
現在の計画によれば、フィリピン国内の事業は引き続きフィリピン証券取引所(PSE)への上場を維持し、同社にとっての安定した収益基盤としての役割を担い続けます。一方で、米国、中国、ベトナムなどを含む世界各国の拠点はすべて新会社へと移管され、世界最大の資本市場である米国での資金調達と成長を目指します。
投資家にとって特筆すべきは、既存の株主への配慮です。今回のスピンオフ(事業分離)に伴い、現在のジョリビーの株主には、その保有株数に応じて新会社の株式が等しく割り当てられる予定となっています。これにより、既存株主はフィリピン国内の安定した成長と、国際市場におけるダイナミックな挑戦の両方の果実を、引き続き手にすることができます。
この戦略の背後には、事業ポートフォリオの最適化という明確な意図があります。ジョリビーはこれまで積極的に海外ブランドを買収し、グローバル展開を加速させてきましたが、その過程で米国の「スマッシュバーガー(Smashburger)」のように、収益性の改善に時間を要するボラティリティの高いブランドも抱えることとなりました。今回の分離によって、フィリピン国内の「盤石でキャッシュ創出力の高いコア事業」と、成長余力は大きいものの変動も激しい「グローバル・ポートフォリオ」を切り離すことが可能になります。これにより、投資家はそれぞれの成長フェーズやリスク許容度に応じて、より純粋な形で投資先を選択できるようになります。
このニュースが報じられると、株式市場は熱狂的な反応を見せました。ジョリビーの株価は前日比14.5%という驚異的な上昇を記録し、終値は210フィリピンペソに達しました。これは、市場が今回の組織再編を、資本効率の向上と将来的な企業価値の最大化に向けた極めて前向きなステップであると確信した証と言えるでしょう。フィリピンの国民的ブランドから世界のトッププレーヤーへと飛躍しようとする「赤いハチ」の挑戦は、米国上場という新たなステージでさらなる進化を遂げようとしています。
総評
今回の米国上場計画は、ジョリビーが「フィリピンの成功体験」に安住せず、真のグローバル企業としての規律を受け入れる覚悟を示したものと評価できます。安定した国内利益を盾に、リスクの大きい海外事業を切り離して米国市場の厳しい監視下に置く手法は、資本効率の観点から非常に合理的です。今後、スマッシュバーガーなどの課題事業が、本場米国の投資家からどのような評価を受け、再建を加速させられるかが、この壮大な戦略の成否を分ける鍵となるでしょう。
本記事は、フィリピンの証券会社・ABキャピタル証券の20260106のWeekly Wrap Upレポートから抜粋、要約し、筆者のコメントを加えたのです。
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