最新:アジア開発銀行のフィリピンへの提言
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アジア開発銀行(ADB)は、フィリピンがエネルギーや農業などの主要分野への投資を拡大すれば、貿易能力の向上を通じて変化する貿易環境の恩恵を受けられると指摘しました。
ADBは、フィリピンには地域内および世界市場の双方において大きな潜在力があると述べ、貿易拡大のためには国内の基盤整備が不可欠であると強調しました。現在フィリピンは、米国の報復関税において比較的軽微な影響を受けており、17%の関税率はシンガポールの10%に次ぐ地域内で2番目に低い水準となっています。
これらの関税措置は7月まで一時停止されていますが、10%の基準税率は引き続き適用中です。ADBは、フィリピン政府は競争力向上の必要性を認識しており、ADBとしても中核的な競争力の課題に取り組むことを重視していると述べました。特に外国直接投資(FDI)を呼び込むためには、魅力的な市場環境の整備が必要であり、そのためには高品質な交通インフラや、特にエネルギー分野における規制環境の改善が重要とされています。
特に、持続可能かつ安価なエネルギー供給体制の確立が、成長を続ける経済にとって喫緊の課題です。農業分野においても、輸送インフラへの投資を強化することで、生産者がより効率的に市場へ産品を届けることができ、輸出拡大につながるとしています。国内産業の競争力を高めるためには、基礎的なインフラ整備が不可欠です。
加えて、ADBは東南アジア諸国連合(ASEAN)に対し、現在の関税政策の影響に対応するため、域内の協力体制を強化するよう提言しました。多くのASEAN加盟国が米国との二国間交渉を進めているものの、ADBとしてはこの機会を利用して、域内の統合をさらに進めるべきだとし、域内貿易の促進と統合された地域経済を支える物理的インフラの整備が必要であるとしています。
具体的な取り組みとしては、ASEANパワーグリッド(域内送電網)など、エネルギー分野での協力体制構築が挙げられました。また、人材の流動性向上や入域障壁の緩和も、域内経済の強化につながるとされており、ADBはこうした取り組みへの支援に積極的な姿勢を示しています。さらに、ASEAN諸国が地域内だけでなく、他の地域や大規模経済圏との関係強化にも目を向けるべきであるとし、正式な自由貿易協定(FTA)を通じた貿易拡大も建設的な道だとしています。
総評:
ADBはフィリピンの競争力向上には農業・エネルギー分野への投資強化が鍵であると明確に指摘しています。インフラ整備と規制改善により、域内外からの投資・貿易機会を広げることが可能です。ASEAN全体としても、統合と協力の深化が今後の成長に不可欠となるでしょう。
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