通信新法の施行規則発表:CNVRGが依然として最も優位なポジションを維持
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「コネクタドン・ピノイ法(Konektadong Pinoy law)」の最終施行規則(IRR)が策定され、2025年11月5日に署名され、公布から15日後に発効する運びとなりました。この最終IRRは、概ね以前の草案に沿った内容であり、競争促進的、インフラ共有推進型の特徴を持ちます。具体的には、「Dig Once(一度掘れば完了)」原則やオープンアクセス規定が導入されていますが、明確な価格設定に関する詳細は依然として不足しています。
今回の規制強化により、新規参入が容易になることで、時間をかけて平均収入(ARPU)に圧力がかかる可能性はあります。しかし、価格基準や技術的なルールが最終決定されるまでには数ヶ月(3~6ヶ月)を要すると見られており、その影響は段階的なものになると予想されています。卸売アクセスは、通信事業者にとって追加の収益をもたらしますが、その利益率は限定的です。なぜなら、収益は「公正なリターン」に上限が設けられ、これは現行の資本コストと関連づけられているからです。
今後の注目すべき具体的な動向としては、価格設定や技術基準の最終決定、そして公正なリターン率に関する国家通信委員会(NTC)の回覧が挙げられます。また、法施行のペースや、初期のインフラ共有契約がどの程度進むかが、2026年までの利益率の希薄化や資産収益化の規模を決定する重要な要素となるでしょう。
各通信事業者への影響として、セクター全体としては短期的に中立のスタンスが推奨されます。PLDT (TEL)は、卸売アクセスからの収入によってバランスの取れた上振れ余地があります。一方、Globe (GLO)は、ARPUへのリスクがより大きく、活用できる手段が少ない状況です。最も優位な立場にあるのはConverge (CNVRG)であり、同社はモバイル部門という負の遺産による重荷が最小限であるため、インフラ共有とブロードバンドの規模拡大による利益を最大化できると見られています。
総評:
「コネクタドン・ピノイ法」の最終IRRは、フィリピンの通信市場に競争促進的な変化をもたらすでしょう。短期的な利益への影響は限定的ですが、長期的には価格基準の動向が鍵となります。その中でも、CNVRGは、インフラ共有の恩恵と既存のビジネス構造から、市場内で最も有利な位置にいると評価されます。
本記事は、フィリピンの証券会社・ABキャピタル証券の20251106のレポート・ The Opening Bellから抜粋、要約し、筆者のコメントを加えたのです。
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