フィリピン政府の経済再生への決意:第1四半期の巨額支出計画と改革の行方
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フィリピン政府は、昨年の経済成長の減速を挽回し、2026年の成長目標を達成するため、今年第1四半期に1兆4,400億ペソという巨額の支出を計画しています。フレデリック・ゴー財務相は、この計画が6兆7,930億ペソの国家予算に基づいたキャッチアップの取り組みの一環であることを明らかにしました。ゴー財務相は、今年の国内総生産(GDP)成長率が少なくとも5%に達し、政府目標である5%から6%の範囲内に収まるとの強い自信を示しています。
昨年の経済状況を振り返ると、フィリピンのGDP成長率は2024年の5.7%から2025年には4.4%へと大幅に鈍化し、政府が掲げた目標(5.5%〜6.5%)を達成できませんでした。この失速の主な要因として指摘されているのが、公共支出の抑制と、インフラ事業を巡る大規模な汚職スキャンダルによる投資家心理の冷え込みです。特に、治水事業に絡む不正疑惑は経済の足を大きく引っ張る形となりました。
このような背景を受け、政府は今年、経済の柱である投資と消費を刺激するため、戦略的な予算執行を急いでいます。しかし、ゴー財務相は単に資金を投じるだけでなく、財政規律を維持することの重要性を強調しています。「重要なのはいくら使うかではなく、どのように使うかである」と述べ、乗数効果の高いプロジェクトに焦点を当てる姿勢を明確にしました。また、投資家の信頼を回復するためには、不正に関与した者の訴追や賠償、そして真のガバナンス改革が不可欠であるとし、公共事業道路省(DPWH)などの透明性向上に向けた取り組みを進めていると説明しました。
一方で、経済の長期的安定に向けたエネルギー政策についても言及がありました。政府は、クリーンで安価な電力を提供するため、原子力産業における二国間協定を引き続き追求しています。特に、大規模な原子力発電所よりも、小型モジュール炉(SMR)の導入に注目しており、昨年設立されたフィリピン原子力規制庁(PhilATOM)を通じて、安全かつ平和的なエネルギー利用の枠組みを整えていく方針です。
このように、フィリピン政府は短期的な景気浮揚策としての巨額支出と、中長期的な成長基盤を整えるための構造改革の両輪で経済の立て直しを図っています。海外フィリピン人労働者(OFW)からの送金やBPO産業といった既存の強みを維持しつつ、内政の浄化とエネルギーコストの削減を実現できるかが、今後の経済成長の鍵を握ることになります。
総評
本計画は昨年の停滞を重く受け止め、官民投資の再活性化を狙った強力な意志の表れと言えます。しかし、巨額の予算が透明性を持って執行され、実効性のある改革が伴わなければ、一時的な刺激に終わるリスクも拭えません。汚職の一掃とエネルギー基盤の強化をいかに迅速に成し遂げられるかが、投資家の信頼を真に繋ぎ止めるための試金石となるでしょう。
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